コラム

海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由...「落葉帰根」派も「落地生根」派も

2026年02月19日(木)11時00分
周来友(しゅう・らいゆう)(経営者、ジャーナリスト)

落葉帰根

HIRONON/SHUTTERSTOCK

日本ではとりわけ落地生根派が多い

天安門事件のリーダーの1人で、フランスに亡命し現在は台湾に住むウアルカイシも帰国を望む落葉帰根派だ。何度も帰国を試みたが、当局に拒まれている。

中国中央電視台(CCTV)で社会の闇を暴くドキュメンタリーを手掛けていた著名な報道記者、王志安(ワン・ジーアン、通称・王局)も同様で、CCTVを辞め日本に移住、登録者数195万人を誇る有名中国人ユーチューバーとなったものの、最近は「中国に帰りたい」と漏らしている。


こうした「反体制派」が帰国したとして、今さら政権転覆のリスクなどないだろう。受け入れを拒否したり、「変節」を条件にするような中国政府の対応には、全く首をかしげたくなる。

と同時に、望郷の念を否定するような批判にも疑問の念を抱く。彼らとて聖人君子ではないのだ。

一方、最近は落葉帰根とは逆に、「落地生根」を旨とする中国人も増えてきた。落地生根も中国の諺で、移住先に根を下ろし定住することを意味する。私の体感では15年ほど前から広がり始めた価値観だ。

長く中国を離れている間に自由な空気に慣れ、故郷の風土が合わなくなったとか(外国生まれの移民2世、3世であればなおさらだ)、故郷に戻って葉を落とし、肥やしになろうとしても、その肥やしが中国で必要とされない場合もある。こうした中国社会とのギャップも落地生根を後押ししている。

在日中国人の場合、日本は差別が少なく暮らしやすい国である上、距離的に近くいつでも帰れるため故郷を恋しく思う気持ちを満たしやすいという理由もある。

落葉帰根と落地生根は、世代間のギャップが大きいが、日本ではとりわけ落地生根派が多いと感じるのはそういった事情からだろう。

プロフィール

外国人リレーコラム

・石野シャハラン(異文化コミュニケーションアドバイザー)
・西村カリン(ジャーナリスト)
・周 来友(ジャーナリスト・タレント)
・李 娜兀(国際交流コーディネーター・通訳)
・カン・ハンナ(歌人、タレント、国際文化研究家)
・トニー・ラズロ(ジャーナリスト)
・ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)
・マライ・メントライン(翻訳家、通訳、エッセイスト)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イラン、米との直接交渉遮断 トランプ氏「文明破壊」

ワールド

一部原油現物が最高値、150ドルに迫る 供給ひっ迫

ワールド

イラン、サウジ・ジュベイルの石化コンビナート攻撃 

ビジネス

中東戦争がインフレ押し上げ、年内約2.75%に上昇
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライナ軍司令官 ロシア軍「⁠春の​攻勢」は継続
  • 3
    米軍が兵器を太平洋から中東に大移動、対中抑止に空白
  • 4
    「王はいらない」800万人デモ トランプ政権への怒り…
  • 5
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 6
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 7
    【後編】BTS再始動、3年9カ月の沈黙を経て──変わる音…
  • 8
    5日間の寝たきりで髪が...ICUに入院した女性を襲っ…
  • 9
    「人間の本性」を見た裁判官が語った、自らの「毒親…
  • 10
    スパイス企業の新戦略...エスビー食品が挑む「食のア…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 3
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 6
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 7
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 8
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 9
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 10
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story