レジリエンス(回復する力)とは違う、「我慢」する日本人

東日本大震災・原子力災害伝承館(福島県双葉町) Yuichi Yamazaki/GETTY IMAGES
<被災の苦難を我慢して頑張り過ぎる日本の国民性を政府が利用していることに、強い怒りを感じる>
フランスのマクロン大統領が3月11日、東日本大震災の発生から10年を迎えたのに合わせ、日本向けのメッセージ動画をSNSに投稿した。「日本の人々の抵抗する力、回復する力に敬意を表します」とマクロンは述べたが、「回復する力」はフランス語では「résilience(レジリエンス)」という単語が使われた。
レジリエンスは心理学の言葉で、大変厳しいショックやストレスを受けたときに、そこから回復する力、立ち直る力を意味する。
フランスでは最近、「レジリエンス」または「レジリエント」(回復する力のある人)がよく使われている。私は90年代後半までフランスで暮らしたが、当時はこの単語を聞く機会はあまりなかった。
だがここ数年、テロや新型コロナウイルスの流行などを含めて社会全体が経験した危機やトラウマが増えたために、政治家もマスコミも「レジリエンス」について議論をする機会が多くなったと思われる。英語でも同じ単語が使われるので、その影響もあったかもしれない。レジリエンスがある人はトラウマを経験したら、そのショックを受け止めた後、いくつかの方法で回復し、さらにはある意味で以前より強くなる。
だから、レジリエンスはポジティブな意味を持ち、レジリエントになるのは良いことと思われがちだ。そして、政府が国民に求めているのがレジリエンスだ。
報道されない被災地の現状
なぜマクロンは、日本人には特にレジリエンスがあると思うのか。1つには、フランスのマスコミは東日本大震災の数カ月後には被災地の状況をほとんど報道しなくなったから。大統領も含めてフランス人の間では、東北で非常に厳しい状況に陥った人が多いことはあまり知られていない。たぶんフランスで同じような事態が起きたら、デモがあったのではないかと思う。またその後、被災地の状況が外国の新聞の一面になることはなく、福島第一原子力発電所の事故で避難した人々についてのニュースも比較的少なかった。
だから外から見ると、日本人はこんなに強い衝撃を受けても立ち直ることができて素晴らしい、それはまさにレジリエンスだと信じてしまう。
ただ、私は違うと思う。東日本大震災、台風による浸水、大雨の災害またはコロナ禍といった危機に対して、日本人は無理やり我慢し、何の文句も言わずに頑張り過ぎるのではないか。例えば最近、私が福島県で取材したお年寄りの夫婦は仮設住宅で8年間暮らした。冬の寒い福島県で8年間。信じられない。彼らは今、抽選で当たった狭い家に住んでいる。周りには知り合いはいない。お店もない。
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