イラン戦争が引き起こすエネルギー危機が、50年前の石油危機とは異なる理由
A New Kind of Oil Shock
世界のエネルギー市場が緊密に統合されているため、米欧は主に価格高騰による影響を受ける一方で、湾岸地域への依存度が高いアジアは供給の制約に直面する。いずれの場合も実体経済を圧迫し、インフレを押し上げ、高い失業率など長期的な傷痕を残す。
こうした価格ショックの性質の変化に伴い、それに対応する政策手段も変化してきた。
先進国、新興国ともに公的債務は高水準にあり、財政的な余力は限られる。政治的には価格統制や広範な燃料補助金を復活させる誘惑があるかもしれない。しかし、それは財政的に無謀であるだけでなく、価格の上昇や下落を通じて人々や企業に「節約すべきだ」「別の燃料に切り替えるべきだ」などと行動を促す「価格シグナル」を弱めることになる。
一方、何もしない場合にも政治的コストは避けられない。原油高は支持率や再選可能性を押し下げるため、指導者は介入してもしなくても難しい選択を迫られることになる。
さらに79年当時と異なり、低い公的債務と独立性が高く信頼できる中央銀行という前提条件は、既に大きく損なわれている。そのため当時有効だったような積極的な利上げを、そのまま再現することは容易ではない。





