イラン戦争が引き起こすエネルギー危機が、50年前の石油危機とは異なる理由
A New Kind of Oil Shock
危機が加速させる変化
新興国の負担はとりわけ深刻だ。アフリカや南アジアの石油輸入国は既に債務が危機的水準に達し、外貨準備も枯渇しつつあり、通貨もドル高の影響で圧迫されている。
エネルギー価格の上昇は食料価格に波及する。さらに湾岸地域からの肥料供給の混乱が来年の作付けに影響することで、食料不安が一段と深刻化する恐れがある。脆弱な経済にとって恐ろしいのは単なる減速ではなく、全面的な危機への発展だ。
より長期的なリスクも深刻だ。安価なエネルギーを背景に工業化を進め始めていたグローバルサウスの国々は、今やその成長の軌道を断ち切られつつある。
この状況下での当面の政策課題は、財政に悪影響を及ぼし富裕層に恩恵が偏る一律の燃料補助金から、財政負担を抑えつつ貧困層の保護に的を絞った支援への転換だ。
地域に深く根差す政治的同盟関係を反映していたアラブ諸国の原油禁輸措置とは異なり、今回の危機は選択によって始まった戦争の産物であり、選択によって終わらせることが可能だ。
だが仮に停戦が実現してホルムズ海峡が再開されても、各国の財政や開発軌道に残された損傷を完全に回復することはできない。戦後国際経済秩序の根幹であった「アメリカが責任ある保証者として行動する」という前提も復元は難しい。





