イラン戦争が引き起こすエネルギー危機が、50年前の石油危機とは異なる理由
A New Kind of Oil Shock
石油依存低下の落とし穴
世界の工業生産の拠点がアジアに移行し、LNGとグローバル・サプライチェーンを通じてエネルギー市場の統合が進んだ今、石油ショックが広がる速さと規模は昔とは比較にならない。憂慮すべきなのは、石油集約度(GDP単位当たりの石油消費量)の長期的な低下が慢心を生み、政府も関係機関も市場も今回のような危機への備えが十分ではなかったことだ。
70年代の石油危機からの脱却には市場の規制緩和、省エネ政策、金融引き締めや外交を組み合わせる必要があった。石油の価格統制の撤廃と燃費基準の導入により市場の需給バランスが回復し、石油集約度は低下した。アメリカではFRB(米連邦準備理事会)による積極的な利上げがインフレの連鎖を断ち切り、継続的な外交努力がアラブ諸国による原油禁輸の終結と供給逼迫の緩和に寄与した。
アメリカは中東産原油への依存から脱却する動きを加速させながら、メキシコ湾での深海掘削など探査技術の進歩を推進した。一連の施策によりアメリカの石油集約度は、73年のピークから2025年にかけて70%以上低下した。
しかしこうした構造改革も、現在の危機から各国経済を守るには至っていない。





