先進国が出生数の減少を嘆く必要はない? 「経済的にはむしろ望ましいかも」
Rethinking Birth Rates
ILLUSTRATION BY OVEREARTH/SHUTTERSTOCK
<「子供が減れば国は滅びる」という警告は最早過去の遺物になるのかも>
極端な少子高齢化は社会の仕組みを崩壊させる──。ずいぶん前から、これは常識のように言われてきた。ところがここにきて、その大きな要素の1つである出生数の減少が、実は経済にそんなに大きなダメージを与えないという学説が浮上している。
これはオーストリアに拠点を置く国際応用システム分析研究所(IIASA)の研究チームが、英オンライン科学誌ネイチャー・ヒューマン・ビヘイビアに3月に発表した論文で示した見解だ。
この中で研究チームは、出生数の減少は社会や経済にマイナスになるという、幅広い思い込みに疑問符を突き付けた。出生数の減少は今後も続く可能性が高いが、社会は持続可能であり、むしろ経済的にはそのほうが望ましいかもしれないというのだ。
政治家や人口学者などの専門家は、合計特殊出生率(女性が生涯に産む子供の数)が人口置換水準(人口が長期的に一定に保たれるために必要な出生率で2.1程度)を下回ると、その国の人口は減り、労働力が不足し、経済は衰退すると警鐘を鳴らしてきた。このためイタリアから日本まで、出生数が減少している多くの国で、手厚い出産奨励策を求める声が高まっている。
ところがIIASAの研究チームは、こうした警告は非現実的な予想に基づいていると主張する。そもそも人口置換水準は、これ以上寿命が延びず、移民の影響もないことを前提としており、現実を反映していないというのだ。






