最新記事
BOOKS

「中国人は大阪を『日本の中国』と呼ぶ」...上海の不動産コンサルタントが明かした実態

2026年3月17日(火)21時40分
印南敦史 (作家、書評家)

「マンションの所有権は、日本に行く入場券のようなもの」

印象的な取材相手の一人が、著者が上海で会ったドンという名の不動産コンサルタントだ。大学生のとき千葉に留学した経験を持つという40代後半くらいの彼は、流暢な日本語でこう語ったという。


「中国人は、もはや日本のマンションを買う買わない、という次元の話はしていません。買うのは当然のことで、わざわざ議論するようなことではないからです。それよりも買った後の子供の教育、病院や主治医をどうするかという話をしています」(132ページより)

日本の不動産購入は、なんら特別なことではなくなっているわけだ。上海のマンション1部屋と同じ価格で、東京なら2部屋、福岡なら3部屋買えるそうなので、「では日本で」となるのは当然とも言える。

もちろんアメリカも魅力的ではあるが、高齢の親になにかあったときのことを考えると、すぐ帰れる距離の日本のほうがいい。それにマンションを持っていれば、いちいちホテルを予約しなくても気軽に行き来ができる。

「マンションの所有権は、日本に行く入場券のようなもの」という表現からも伺えるとおり、日本にマンションを持つことはきわめて合理的な発想なのかもしれない。


 ドン氏は、6年くらい前に中国で流行した「内巻(ネイジュアン)」という言葉について話した。
 競争が激化する中で死ぬほど努力しているのに、誰も豊かさや成果を感じられない「消耗戦」の状態を意味する。就職氷河期世代の私は、自分もかつて経験した「ワーキング・プア」を思い出した。(132ページより)

14億人が住む中国で、生まれたときから生存競争が始まるのは有名な話だ。朝早くから夜遅くまで勉強していい大学を目指すが、大学を出ても就職できる保証はない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米テロ対策トップ辞任、イラン戦争支持できず 「切迫

ワールド

イラン外相「ホルムズ混乱は米・イスラエルの攻撃と不

ワールド

米経済、イラン情勢の打撃なし 海峡通航徐々に再開と

ワールド

EXCLUSIVE-イラン新最高指導者、米との緊張
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在の価値でどれくらい? 誰が何のために埋めた?
  • 3
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 4
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったの…
  • 5
    「危険な距離まで...」豪ヘリに中国海軍ヘリが異常接…
  • 6
    「目のやり場に困る...」グウィネス・パルトロウの「…
  • 7
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 8
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 9
    生徒がいない間に...中学教師、教室でしていた「気持…
  • 10
    戦争反対から一変...湾岸諸国が望む「イランの脅威」…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 3
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 6
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 7
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 8
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在…
  • 9
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 10
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中