「20年後、トランプに感謝することになるかも...」――ディール外交にさらされるカナダ・中南米の行方は?
RESETTING THE WORLD

ケベック州首相など、カナダ政界で数々の要職を務めてきたジャン・シャレーは、トランプ政権が昨年12月に発表した「国家安全保障戦略」を、とりわけモンロー・ドクトリンうんぬんのくだりを読んだとき、「ショック」を受けたと振り返る。
「アメリカが今すぐカナダに軍を送り込むとは思わない」と、シャレーは本誌に語る。「そのつもりはないと、トランプ大統領も述べている。けれども、彼はカナダをアメリカの51番目の州と呼び、現在の国境は正しい国境ではない、その気になればカナダを経済的に破綻させることができると言っている」
「(トランプ政権の)関税合意などの対外交渉は、ことごとく一方的なものだ。アメリカの国益、少なくとも政権が国益だと見なすものが全てで、目先の実利志向の交渉に終始している。歴史を長期的な視点で見ようとか、双方の共通の利益を探ろうという姿勢は見えてこない」
もっともシャレーは、南北米大陸の安全保障を重視すべきだというトランプ政権の主張自体は大筋で間違っていないと考えている。
シャレーはこれまでずっと「わが国で国防への投資が不足している」状況に警鐘を鳴らし続けてきたが、カナダは今ようやく「大慌てで現状を改めようとしている」と言う。
「20年後には、ドナルド・トランプが私たちを眠りから覚ましてくれたと感謝することになるのかもしれない」





