少子高齢化は国防の危機──社会保障を切り捨てるロシアや中国にNATOはどう対抗するのか
NATO Has a Birth Rate Problem
GDP比5%のハードル
高齢化はこの課題をさらに複雑にする。EUの公式統計機関ユーロスタットによれば、2024年時点でEUの人口の21.6%を65歳以上が占めている。人口の高齢化に伴い軍は縮小するが、その一部は、人工知能(AI)、ロボット工学、自動化などの省力化技術が補うと見られている。
しかし、民主主義国家の政府がこうした技術に投資できる余地には限界がある。
「ロシアや中国などの権威主義国家は、社会保障や年金を犠牲にして軍事費に回すことができる」と、カナダ王立軍事大学およびクイーンズ大学の教授、クリスチャン・ロイプレヒトは本誌に語った。「高齢化が進む社会で防衛費を大幅に引き上げるには、民主主義国家の政治家は極めて大きな痛みを伴う決断を迫られることになる」
しかも欧州各国は現在、冷戦終結以降で前例のない防衛力強化の圧力に直面している。ロシアによるウクライナ侵攻は、第二次世界大戦後で初めての欧州における国家間戦争となり、防衛上の脆弱性を露呈させた。中東などでの緊張の再燃も、事態の緊急性を高めている。
ドナルド・トランプ米大統領からの継続的な圧力を受け、NATOの32加盟国は2024年、2035年までに国内総生産(GDP)の5%を防衛支出に充てることで合意した。





