1975が警告する「アジア安保」の未来...トランプの「アメリカ・ファースト」に日本はどう動くべき?

2026年1月28日(水)18時36分
長島昭久 (衆議院議員)

アメリカ頼みをやめたアジア

もちろん、アジア諸国はこうしたアメリカの威圧的なやり方には慣れている。ベトナム戦争では、リンドン・ジョンソン米大統領の圧力によりオーストラリアと韓国が派兵させられた。

ロナルド・レーガン米大統領は中曽根康弘首相にプラザ合意への署名を強い、日本の「失われた20年」に道を開いた。今日の指導者たちは半世紀前の指導者たちと同じく、自国の安全保障を高め経済的繁栄を守るために、策を講じなければならないことを承知している。

アメリカがベトナムから手を引いた後は、経済的にも安全保障的にも不安定な時代が続いた。だが多くのアジア諸国は地域の経済発展を促し自国の防衛を強化する新メカニズムの確立という策を採り、安定を手にすることができた。

アメリカへの完全な依存はもはや現実的な戦略ではないという認識を、アジア諸国の政府は一様に持った。東南アジアの国々は、アメリカの傘の下で導入した輸出主体の経済発展モデルにさらに力を入れた。

アメリカ政府がアジアの安全保障に関与しないなら、アメリカの民間企業からの新たな「関与」を受け入れればいい。そうすればアジアの安全保障に関するアメリカ国内の議論において、実業界がアジアの味方になってくれるだろう──。

この戦略は最終的に、政治指導者たちの期待を大きく上回る成功を収めた。アジアでは今世紀の初頭に至るまで、アメリカからの海外直接投資が投資の大きな割合を占めていた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

カナダ中銀、金利据え置き マックレム総裁「不確実性

ワールド

次期FRB議長候補、追加も絞り込みもなし=米財務長

ワールド

米政権の移民政策を批判の議員、演説中に液体かけられ

ワールド

米財務長官「強いドル政策」堅持、円支援の為替介入を
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 3
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに...宇宙船で一体何が?
  • 4
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 5
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 6
    人民解放軍を弱体化させてでも...習近平が軍幹部を立…
  • 7
    パキスタン戦闘機「JF17」に輸出交渉が相次ぐ? 200…
  • 8
    またTACOった...トランプのグリーンランド武力併合案…
  • 9
    筋トレ最強の全身運動「アニマルドリル」とは?...「…
  • 10
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 5
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 10
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中