火葬NG、死は門出...移民問題で揺れる今こそ知っておきたい、イスラムの「死生観」
イスラムの埋葬は環境にやさしい?
2016年、とある研究チームが『IOSR Journal of Research & Method in Education』に、シャリーア(イスラム法)に沿った埋葬方法が、環境保護の観点からも最も適しているとした論文を発表した。同論文では、イスラム式埋葬と環境への影響に関する研究結果を紹介し、「土中に遺体を埋め、自然に分解される布などで包む伝統的な埋葬方法こそ、環境的にも宗教的にも最良」との検証結果が出ている。
米誌『ビジネス・インサイダー』によると、この研究を行なった研究チームは、文化や宗教、時代によって異なる埋葬方法を比較研究し、地球環境を守る最適な方法を探った。
結果、遺体を土に直接埋めることは、周囲の環境を多くの危険から守る効果があると結論づけた。
ただし、埋葬時に棺を用いた場合、棺に使用されている化学物質によって土壌を汚染する恐れがある。とくに、遺体をホルマリンなどの有害物質で処理して腐敗を遅らせている場合は、これらの毒性成分が土壌にしみ込むリスクを高めるという。
一方、火葬は環境へ深刻な影響を与えかねないという。遺体を焼却して遺灰を撒く行為は、重金属や有害ガスなど多くの汚染物質を放出することになるため、自然に大きな負荷を与える。
研究チームは、化学処理を施さず、生分解性の布で遺体を包んで土中に還すという、自然の循環に沿った「ナチュラル・バリアル(自然埋葬)」を推奨した。この埋葬方法は、自然環境を長く保全できるうえ、墓の外装に石や金属などの人工物を使わないことも環境に良いと述べている(しかし、これはあくまで一説による分析に過ぎないと筆者は考えている)。





