韓国・李在明、国民の声に耳塞ぐ? 「執務室100m内集会禁止」の波紋
青瓦台復帰と「規制強化」
こうしたなか、現在、李在明(イ・ジェミョン)政権は、尹政権期に移転した大統領執務室機能を龍山から青瓦台へ戻す作業を進めている。大統領秘書室長の姜勲植(カン・フンシク)は、業務施設の移転がクリスマス前後に完了する見通しだと説明し、記者団が利用するブリーフィングルームも12月20〜23日に青瓦台・春秋館へ移すと述べたと報じられた。
一方で、大統領の「官邸(住まい)」の移転は、警備などの問題から来年上半期になる見込みだという。 政府は就任直後の国務会議で、青瓦台復帰に向けた予備費259億ウォンの支出を議決したとも伝えられている。
この"青瓦台復帰"が、集示法改正と結びつくとどうなるか。報道では、改正案が成立した場合、青瓦台前の噴水台広場なども「100メートル規制」に飲み込まれる可能性があると指摘される。つまり、場所が龍山から青瓦台へ戻った瞬間、抗議の舞台もまた青瓦台周辺へ移り得る――その「未来の光景」を先回りして塞ぐのが、改正案だと受け取られている。
そして再び「集示法改正」へ
今回問題になっている改正案の核心は、現行法が「大統領官邸」「国会議長公館」などに設けている"100メートル以内の集会禁止"の枠に、「大統領執務室」も追加する点だ。例外として「職務を妨げるおそれがない」「大規模な集会に拡散するおそれがない」場合は許容する、といった但し書きもあるが、現場で判断するのは結局、規制する警察になりやすい――という懸念が出ている。
国民日報は、法案が通れば青瓦台近隣の集会が原則禁止となり、学界などから「違憲の恐れ」が出ていると報じた。また反発が広がった結果、12月9日の国会本会議には上程されなかったとも伝えている。
つまり、いったんは踏みとどまった形だが、法案が棚上げされたわけではなく、再浮上する余地が残る。
李在明大統領の考えは?
では、李在明大統領自身はこの改正案をどう捉えているのか。少なくとも李大統領が改正案への賛否を明確に語ってはいない。それだけに、法案反対派は「この改正は、 "国民主権政府"を標榜する李在明政権の国政理念とも合致しない」と突きつける。PSPDはまさにその言葉で、法案を「集会の自由」を侵す"改悪"だと位置づけ、与党が一枚岩で突き進むことへの警戒感をあらわにした。
一方、与党側から見れば、執務の安全確保や警備負担、周辺住民の生活被害といった論点を掲げやすい。だが、その論理が"民主主義の騒音"まで消してしまうのかどうか。龍山で積み重なった司法判断や、100メートル規制をめぐる憲法判断との整合性を、立法府がどう説明するのかが問われている。
「戻る執務室」と「狭まる広場」
大統領執務室が青瓦台へ戻れば、政治の象徴空間もまた青瓦台へ戻る。だからこそ、その目の前から市民の声を遠ざける法改正が、いま強い反発を呼ぶ。この改正案が国会本会議でどう扱われるのか。あるいは、青瓦台復帰の"完了"と同時に、青瓦台前の広場が「実質的な許可制」へ変質していくのか。韓国政治が次に突き当たる争点は、外交でも経済でもなく――「権力のすぐ前で、声を上げられるか」という、ごく根源的な問いかもしれない。
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