最新記事
中東情勢

アメリカが中東にこだわる理由は石油だけじゃない? 知られざる「4つ理由」とは

2025年11月10日(月)16時00分
アルモーメン・アブドーラ(東海大学国際学部教授)
中東とアメリカの国旗とドル札

アメリカは中東で大きな影響力を持っている Andrzej Rostek-shutterstock

<アメリカは中東への関与を深めている中で、我々が考えなければならない「最も重要な問い」がある>

「アメリカの国務長官が中東を訪問」。このようなニュースを、頻繁に目にするのではないでしょうか。なぜアメリカは、これほどまでに中東に深く関与するのでしょうか?

多くの人は「石油のためだ」と即答するでしょう。しかし、その答えはもはや正確ではありません。そのような時代は終わり、現在、状況は非常に複雑化しています。

この記事では、あまり語られることのないアメリカが中東に執着し続ける4つの衝撃的な理由を解き明かします。


1. 巨大な富の源泉:石油、ドル体制、そして武器市場

意外に思われるかもしれませんが、現在のアメリカは世界最大の産油国であり、石油を中東に依存していません。しかし、それでもなお、この地域の石油はアメリカにとって死活的に重要です。

その理由は2つあります。1つは、世界の石油価格を安定させるため。もう1つは、サウジアラビアなどの湾岸諸国が、石油を米ドルのみで取引することを義務付けられている「ペトロダラー体制」を維持するためです。この体制が、基軸通貨としてドルの地位を支えています。

そして、中東はアメリカ製兵器の巨大市場であるということも見逃せません。この地域で絶え間なく続く紛争は、兵器に対する尽きることのない需要を生み出しています。事実、2023年だけで、アメリカは約2380億ドルもの兵器を販売していますが、販売先はサウジアラビア、UAE、カタール、エジプトといった中東の国々が多くの割合を占めています。紛争が莫大な利益を生み出すというモデルが作り出されているのです。

さらに、一部のアラブ諸国では、アメリカとの関係を維持するため、これらの兵器購入が義務付けられているケースもあります。

地方自治体
人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に安心な水にアクセスできる社会の実現へ
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イラン最高指導者、ホルムズ海峡管理「新段階」と表明

ワールド

レバノン、イスラエルとの協議に向け一時停戦提唱 ヒ

ビジネス

IMF、世界成長率を下方修正へ 金融支援需要は最大

ビジネス

米2月PCE価格指数、0.4%上昇に伸び加速 利下
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 3
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポケモンが脳の発達や病気の治療に役立つかも
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 6
    戸建てシフトで激変する住宅市場
  • 7
    高学力の男女で見ても、日本の男女の年収格差は世界…
  • 8
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 9
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 10
    「嬉しすぎる」アルテミスII打ち上げのNASA管制室、…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 4
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 7
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 8
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 9
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 10
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中