トランプが自身の実績として誇るガザ停戦には問題山積み...停戦を「持続」させるのに必要なこととは

What’s Next for Gaza?

2025年10月21日(火)15時15分
トム・オコナー(本誌米国版外交担当副編集長)

勝利を祝うハマスの戦闘員

2007年6月15日、ガザを事実上掌握した後、勝利を祝うハマスの戦闘員 ABID KATIB/GETTY IMAGES

こうしてハマスはパレスチナで最大かつ最強の組織となったが、現地にはパレスチナ・イスラム聖戦や人民抵抗委員会、パレスチナ・ムジャヒディン運動、パレスチナ解放人民戦線(PFLP)とその分派など、さまざまな勢力が存在している。

これらの組織は今回のガザ戦争で基本的にハマスと共闘してきたが、ハマスと対立する氏族系の民兵集団もある。ヤセル・アブ・シャバブが率いる「人民軍」やドグムシュ氏族などで、どちらも犯罪活動に手を染め、国境を越えてエジプトの過激派組織、とりわけ「イスラム国」(IS)と連携してきた過去もある。


こうした複雑な背景を持つガザで、新たな文民による統治機関が生まれる余地はほとんどない。これがトランプの和平提案を次の段階に進める上で大きな障害となる。

アルハティブに言わせると、ハマスは百戦錬磨だ。今回の戦争では一貫して劣勢にあったが、イスラエル軍の撤退で権力の空白が生じれば再浮上してくるのは必至だ。

「イスラエル軍の撤退によって生じる物理的な空白だけではない。国家や社会制度の、いわば多層的な不在という問題がある」とアルハティブは本誌に語った。

「今のガザには学校がない、議会がない、雇用がない、治安機関も警察もない。裁判官も、まともな裁判所もない。ガザが所属する国家もない」

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