最新記事
中東情勢

自称「和平仲介人」のトランプが仲介した「画期的」な合意が、崩壊の危機...一体なぜ?

Landmark Trump Deal on Verge of Collapse

2025年9月10日(水)17時30分
アミラ・エルフェッキ

UAEは他国と比べてイスラエルとの関係構築に前向きだったが

地元メディアによると、ヌセイベは「もしイスラエルがパレスチナの土地を併合するなら、平和と統合への道を閉ざすだけでなく、アブラハム合意の精神そのものへの裏切りとなる」と述べたという。

「イスラエルがパレスチナの土地を併合しようとする行為は、私たちにとって信念に関わる問題であり、この地域の平和そのものに関わる重大な問題でもある。決して越えてはならない一線なのだ」


イスラエルは8月、西岸地区にあるマアレ・アドミムと東エルサレムを結ぶ形で、入植地を拡大する計画を承認した。このような計画は、パレスチナ国家の一体性に対する脅威として、過去にはアメリカからの圧力で延期されていた。

アラブ諸国の中でも、UAEはイスラエルとの完全な国交正常化を最も迅速に進めてきた。エジプトが1979年、ヨルダンが1994年に平和条約を結んだが、両国とも国民からの強い反対にあったため、両国の対イスラエル関係は政府間外交と貿易にほぼ限定され、「冷たい平和」と評されてきた。

これに対し、UAEは、文化的・社会的な領域でも、関係正常化を積極的に推進してきた。

これは、アラブ近隣諸国とのこれまでの合意に欠けていたとイスラエル側が長らく主張していた要素であり、UAEを訪れるイスラエル人観光客の増加などに顕著に表れている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ政権が控訴、クックFRB理事解任差し止め巡

ワールド

フランス各地で反政府デモ、数千人が参加 政治への不

ワールド

バイデン氏の再選出馬は「リスク大きすぎた」 ハリス

ワールド

EU、対中印関税引き上げの公算小 トランプ氏が要請
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題」』に書かれている実態
  • 3
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 4
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 5
    毎朝10回スクワットで恋も人生も変わる――和田秀樹流…
  • 6
    カップルに背後から突進...巨大動物「まさかの不意打…
  • 7
    富裕層のトランプ離れが加速──関税政策で支持率が最…
  • 8
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 9
    ロシアが遂に「がんワクチン」開発に成功か...60~80…
  • 10
    眠らないと脳にゴミがたまる...「脳を守る」3つの習…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 4
    眠らないと脳にゴミがたまる...「脳を守る」3つの習…
  • 5
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 6
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 7
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 8
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 9
    エコー写真を見て「医師は困惑していた」...中絶を拒…
  • 10
    「稼げる」はずの豪ワーホリで搾取される日本人..給…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中