トランプが「犯罪者に乗っ取られた」と主張するワシントンD.C....その実態は?差別的取り締まりも
Feds on a DC Phantom Hunt

ナショナル・モールにそびえるワシントン記念塔前で州兵は所在なさげ KAYLA BARTKOWSKI/GETTY IMAGES
<トランプはワシントンD.C.を「安全で美しい場所にする」として、州兵を投入。同地には異常な光景があちこちに広がっている>
ドナルド・トランプ米大統領が熱に浮かされた夢で見たアメリカの首都ワシントンには誰も住みたくないだろう。何しろそれは「若い暴徒」と「麻薬でいかれた連中」があふれる「暴力的なギャングと血に飢えた犯罪者に乗っ取られた」都市だというのだから。
トランプは8月11日の記者会見でこう語り、この「緊急事態」に対処するため州兵800人とFBIや麻薬取締局(DEA)など連邦当局の捜査員500人を首都に派遣すると発表。併せて首都警察を指揮下に置くと宣言した。大統領は緊急時には一時的に首都警察を指揮下に置けるが、その指揮権限には法的な制約があり、トランプの思いどおりにできるかは不透明だ。
記者会見後は首都の至る所に──物々しい警備など不要な場所にまで州兵や連邦当局の捜査員が姿を見せ始めた。
自分の住む街に突然、迷彩服を着た州兵や防弾ベストを着用した捜査員がどっとなだれ込んできたら、誰だって当惑するだろう。何が起きているのかこの目で確かめようと、私は12日朝、市内を歩いてみた。トランプに言わせれば、首都の治安状況は今や「制御不能」なレベルまで悪化している。だから自分が乗り出して首都警察の尻をたたき、首都機能と市民の安全を守らなければならないというのだ。