「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波、独身を選択した世界の若者は何を思う

A SINKING FEELING

2025年6月12日(木)17時20分
アリス・コリンズ(本誌記者)

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ケーススタディー① マット・ジャーディン(37、アメリカ)のケース MATT JARDINE(※写真をクリックすると彼の事情が読めます)

「昔に比べると、今の女性は一人でも十分に経済的な安定を得られる」とバーブルッゲンは言う。仮に結婚しても、女性にもまともな仕事があるなら出産・子育ての優先順位は下がる。「生活水準の向上と技術革新で独身生活の魅力が以前よりも上がった。自分より稼ぎが悪く、まして失業しかねないタイプの男と結婚しようとは、今の女性は思わない」

ちなみにアメリカでは、貧困層や労働者階級の男性が結婚できる確率はどの人口集団よりも低く、生涯独身の確率は最も高いことが数々の調査で明らかになっている。


人と対面する機会が減った

なぜ今の人は独身でいたがるのか。技術革新が進みSNSが普及したおかげで、私たちはまさに「指先から広がる世界」を楽しんでいるが、結果としてリアルな世界から遠ざかっているのかもしれない。そのせいでリアルな交際を苦手とする人が増えているというのは、多くの研究者が指摘するところだ。

バーブルッゲンに言わせると、今は「付き合い」の概念が変わってしまい、それで「若者の社会生活が壊され」ている。家から一歩も出なくても簡単に人とつながれる。愛のメッセージもクリック一つで送れる。そういう時代だ。

「その最も顕著な例が、いわゆる『出会い系』の市場だ。今は多くの人がオンラインで出会う。そのほうが選択肢が広がり、より良い相手が見つかると思ってしまう。でも選択肢が多すぎると、かえって引いてしまうこともある。そうすると人間関係を築きにくくなる」。バーブルッゲンは本誌にそう語った。

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