最新記事
出生率

先進国なのに「出生率2.84」の衝撃...イスラエルだけが少子化しない理由

FAITH AND FERTILITY

2025年6月13日(金)14時51分
デービッド・ローゼンバーグ(イスラエルのハーレツ紙コラムニスト)

さらにイスラエルの場合、家族主義(家族の社会的役割を重視するイデオロギー)も大きな役割を果たしていると、ヘブライ大学のバーバラ・オーカン教授は指摘する。

ナショナリズムの部分は、かなり自明に思われる。長年にわたる戦争と、敵に包囲されているという感覚は、政治思想の左右を問わずイスラエルのユダヤ人に愛国意識を植え付けてきた。

一方、宗教的な側面の影響は、そこまで自明ではない。なにしろ敬虔なユダヤ教徒は、イスラエルでもごくひと握りしかいない。


だが、イスラエルの場合、ナショナリズムと宗教を切り離すのはほぼ不可能だと、オーカンは言う。

「イスラエルに住むユダヤ人のほとんどにとって、国家のアイデンティティーとは、ユダヤ民族としての連帯と、国内で圧倒的多数派であることを意味する。宗教だけに基づいているわけではない」と、オーカンは昨年、「イスラエルにおける信仰と出生率」と題された論考記事で説明している。

人口統計学者の一部は、18年の世界同時株安後、イスラエルの出生率がわずかに低下したことを引き合いに出して、イスラエルにもついに現代化の波がやって来たと主張する。

もはやイスラエル人も、生活費の上昇といった現実に直面するとともに、家族主義よりも個人主義を重視するようになったというのだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

高市首相「首脳外交の基礎固めになった」、外交日程終

ワールド

アングル:米政界の私的チャット流出、トランプ氏の言

ワールド

再送-カナダはヘビー級国家、オンタリオ州首相 ブル

ワールド

北朝鮮、非核化は「夢物語」と反発 中韓首脳会談控え
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 5
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 8
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 10
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中