「核保有も考えるべき」...韓国・次期政権を待ち受けるのは不穏すぎる「三重苦」
KOREA’S NEW CHALLENGE
かつて優位を誇った造船や鉄鋼、半導体の分野で中国に追い上げられているのも痛い。成長を後押しした輸出主導型経済モデルが保護主義の高まりや「地経学」的分断で揺らいでいるという本質的な問題もある。
国内政治も波乱含みだ。汚職は後を絶たず、与野党の対立により手詰まりな状況が続く。
人権擁護団体フリーダム・ハウスと経済誌エコノミストの調査部門エコノミスト・インテリジェンス・ユニットは、韓国の民主主義が後退傾向にあると報告。24年12月に尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領が起こした戒厳令騒動も、民主主義のもろさをうかがわせた。
安全保障上のリスクがさらに事態を複雑にする。中国と長年足並みをそろえ、最近はロシアと軍事面で結び付きを深める北朝鮮は、弾道ミサイルの発射実験などの挑発行為をやめない。
競争を激化させる米中の間でどう立ち回るべきかも、頭の痛い問題だ。韓国は中国との間に強い経済関係があり、アメリカはますます同盟国として頼りにならなくなっている。
1期目のドナルド・トランプ米大統領が在韓米軍を縮小し、北朝鮮と取引するなどと発言すると、韓国では独自に抑止力を持つべきだとする声が高まった。
24年6月の世論調査では、核武装を支持する人が66%に上った。政府は核不拡散の立場を堅持するが、強固な安全保障を望む国民の圧力は増している。