最新記事
ロシア

「まさかの敗北」ロシアの消耗とプーチンの誤算...プーチンが語り始めた後継者

Putin Is Not Winning the War

2025年5月27日(火)21時10分
マイケル・キメージ(ウィルソンセンター・ケナン研究所所長)
「まさかの敗北」ロシアの消耗とプーチンの誤算...プーチンが語り始めた後継者

モスクワで開催された対外軍事技術協力委員会で議長を務めるロシアのプーチン大統領(2025年5月23日、Reuters)

<消耗戦になれば必ず勝てると踏んでいたが、膠着状態を突破できず「戦略的袋小路」に。ウクライナの粘り勝ちがついに実現?>

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は負けを認める屈辱を巧みに避けてきた。初めて政権を握ったのは第2次チェチェン紛争の最中の2000年。プーチン指揮下でロシア軍はどうにかチェチェンの分離独立派を抑え込めた。

その後もジョージア(08年の南オセチア紛争)、ウクライナ(14年のクリミア半島の一方的併合と22年の本格的な侵攻開始)、シリア(15年のロシア軍の介入)でプーチンは軍事力に物言わせてきた。だが長期的な成功は達成できていない。ジョージアの将来は不透明だし、シリアでロシアの影響力は低下した。


それでもプーチンは常に勝者として振る舞う。ウクライナに対しては、ロシアの勝利は時間の問題だとばかり強気の態度を取っている。5月9日の対独戦勝記念日にはプーチンは中国の習近平(シー・チンピン)国家主席と並んで首都モスクワの赤の広場での軍事パレードに臨み、ロシアには強い味方がいることを印象付けようとした。

ロシアの国営メディアは、アメリカもロシアの主張を認めていると誇らしげに伝えている。NATOの拡大こそが戦争の原因であり、ウクライナの頑固さが戦争を長引かせ、もうろくしたジョー・バイデン前米大統領は危うく第3次大戦を引き起こすところだったと、トランプ政権も理解しているというのである。

投資
「FXで長期投資」という投資の新たな選択肢 トライオートFX「世界通貨セレクト」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

訂正-米PCE価格、4月前年比+2.1%に鈍化 個

ビジネス

独CPI、5月速報は前年比+2.1%に鈍化 コア+

ワールド

ウクライナと来週協議を期待、ロシア報道官 停戦条件

ビジネス

トルコ第1四半期GDP、前年比2.0%増 予想下回
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プーチンに、米共和党幹部やMAGA派にも対ロ強硬論が台頭
  • 3
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が知らないアメリカの死刑、リアルな一部始終
  • 4
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言…
  • 5
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 6
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 7
    中国戦闘機「殲10」が仏機を撃墜...実力は本物? 世…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 9
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 10
    【クイズ】世界で2番目に「金の産出量」が多い国は?
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多い国はどこ?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 6
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 7
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 8
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 9
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 10
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中