トランプ「中東歴訪」で孤立するネタニヤフ...「トランプ流リアリズム」とは?
中東訪問の2カ国目であるカタールでトランプ氏は豪華な装備のボーイング747型機を提供され、君主にふさわしい豪華なファンファーレで歓迎された。トランプ氏は式典で、ハマスに多額の資金援助を行ってきたカタールを「イスラエルの人質危機解決に向けて努力している」と称賛。この発言は、カタールをハマスの資金源とみなすエルサレム当局者の神経を逆なでした。
米政府の推計によると、トランプ氏の今回の中東訪問で米経済向けに2兆ドル超の投資が確約された。ロイターの集計によると総額は約7000億ドル近くだ。
トランプ氏はサウジで1420億ドルに及ぶ過去最大規模の武器契約に合意。同時にイスラエルとの国交正常化に関して「サウジ側が望むタイミングで進めてよい」と裁量を認めた。
スンニ派諸国も外交課題への独自の取り組みを進めている。トランプ氏は今回の中東歴訪中にシリアへの制裁解除を突然発表したが、これはサウジの要請を受けたもので、イスラエルの反対を押し切った形だった。
昨年12月にシャラア氏がアサド政権を打倒するまで、米政府は同氏に1000万ドルの懸賞金をかけていた。湾岸諸国は、イラン主導の「抵抗の枢軸」を構成するイエメンのフーシ派との停戦をトランプ氏が実現したことにも拍手を送っている。
イスラエル国家安全保障会議でイラン・湾岸問題の元調整官を務めたヨエル・グザンスキー氏は「米国が地域の再編を目指す中で、イスラエルは今や、米国ばかりか国際社会にとって『邪魔者』になりつつある。アサド政権やヒズボラの崩壊、そしてガザ戦争終結の可能性という流れの中でイスラエルは障害になっている」と述べた。