最新記事
アメリカ外交

トランプ「中東歴訪」で孤立するネタニヤフ...「トランプ流リアリズム」とは?

2025年5月19日(月)22時25分

トランプ氏が今回の中東訪問を通じて和平仲介者としてのイメージを確立し、ガザ戦に終止符を打つ合意を発表すると期待する声もあったが、実現しなかった。それどころかネタニヤフ氏はイスラム組織ハマス壊滅という目標に固執し続けている。

トランプ氏の中東訪問の終盤の16日、イスラエルはガザで新たな攻勢を開始。同氏は重要課題として、1期目にイスラエルとアラブの関係正常化を仲介した「アブラハム合意」の拡大を目指しているが、これもネタニヤフ氏の強硬姿勢によって行き詰まっている。


トランプ氏自身は、公の場ではイスラエルとの亀裂を否定している。ただその一方で、ネタニヤフ氏抜きで政策を進めており、自己の利益をむき出しにして、サウジを中核とした裕福なスンニ派諸国との関係再構築に向けて米国の外交方針を転換させている。

ある中東の高官は、今回の訪問がサウジをスンニ派アラブ世界の指導的立場に押し上げたと指摘した。対照的にシーア派の代表的勢力であるイランはイスラエルからの攻撃で勢いを失っている。「以前はイランが(中東の)主役を務めていたが、今やサウジが経済、資金、投資という別の手段で台頭してきた」という。

スンニ派の台頭

新たな中東秩序はサウジ、カタール、UAE主導で形作られつつある。これら湾岸諸国はイランや親イラン勢力からの攻撃に備えて高度な兵器を手に入れ、米国から最先端半導体や人工知能(AI)技術を確保することを強く望んでおり、外交政策と一族の利益との関係が曖昧になりがちなトランプ氏なら手を組めると見定めている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

チェコ大統領、連立交渉の各党にウクライナ向け砲弾供

ワールド

トランプ氏、ベネズエラへの外交的働きかけ中止=米当

ビジネス

AI企業へのVC投資活発、アンソロピック130億ド

ビジネス

ベライゾン、新CEOにペイパルのシュルマン元CEO
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレクトとは何か? 多い地域はどこか?
  • 2
    祖母の遺産は「2000体のアレ」だった...強迫的なコレクションを受け取った男性、大困惑も「驚きの価値」が?
  • 3
    赤ちゃんの「耳」に不思議な特徴...写真をSNS投稿すると「腎臓の検査を」のコメントが、一体なぜ?
  • 4
    一番お金のかかる「趣味」とは? この習慣を持ったら…
  • 5
    筋肉が育つだけでは動けない...「爆発力」を支える「…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃の「オーラの違い」が話題…
  • 7
    「不気味すぎる」「昨日までなかった...」ホテルの天…
  • 8
    監視カメラが捉えた隣人の「あり得ない行動」...子供…
  • 9
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 10
    「美しい」けど「気まずい」...ウィリアム皇太子夫妻…
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 3
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 6
    赤ちゃんの「耳」に不思議な特徴...写真をSNS投稿す…
  • 7
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 8
    更年期を快適に──筋トレで得られる心と体の4大効果
  • 9
    MITの地球化学者の研究により「地球初の動物」が判明…
  • 10
    祖母の遺産は「2000体のアレ」だった...強迫的なコレ…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 7
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中