トランプ「中東歴訪」で孤立するネタニヤフ...「トランプ流リアリズム」とは?
トランプ氏が今回の中東訪問を通じて和平仲介者としてのイメージを確立し、ガザ戦に終止符を打つ合意を発表すると期待する声もあったが、実現しなかった。それどころかネタニヤフ氏はイスラム組織ハマス壊滅という目標に固執し続けている。
トランプ氏の中東訪問の終盤の16日、イスラエルはガザで新たな攻勢を開始。同氏は重要課題として、1期目にイスラエルとアラブの関係正常化を仲介した「アブラハム合意」の拡大を目指しているが、これもネタニヤフ氏の強硬姿勢によって行き詰まっている。
トランプ氏自身は、公の場ではイスラエルとの亀裂を否定している。ただその一方で、ネタニヤフ氏抜きで政策を進めており、自己の利益をむき出しにして、サウジを中核とした裕福なスンニ派諸国との関係再構築に向けて米国の外交方針を転換させている。
ある中東の高官は、今回の訪問がサウジをスンニ派アラブ世界の指導的立場に押し上げたと指摘した。対照的にシーア派の代表的勢力であるイランはイスラエルからの攻撃で勢いを失っている。「以前はイランが(中東の)主役を務めていたが、今やサウジが経済、資金、投資という別の手段で台頭してきた」という。
スンニ派の台頭
新たな中東秩序はサウジ、カタール、UAE主導で形作られつつある。これら湾岸諸国はイランや親イラン勢力からの攻撃に備えて高度な兵器を手に入れ、米国から最先端半導体や人工知能(AI)技術を確保することを強く望んでおり、外交政策と一族の利益との関係が曖昧になりがちなトランプ氏なら手を組めると見定めている。