最新記事
印パ関係

モディ政権「観光業活性化シナリオ」に暗雲...カシミール銃撃事件で報復合戦か

Kashmiri Terror Hits Tourists

2025年4月28日(月)18時15分
スダ・ラマチャンドラン
インドの治安部隊

パハルガムにはインドの治安部隊が出動。これでは観光どころではない WASEEM ANDRABIーHINDUSTAN TIMES/GETTY IMAGES

<ヒンドゥー教の大巡礼を控えた時期の観光客狙いの惨劇で、インド・パキスタン対立再燃も...モディ政権の経済戦略にも打撃>

インド北部カシミール地方のパハルガム近郊で4月22日、銃撃事件が起き観光客ら少なくとも26人が死亡した。

インドとパキスタンが領有権を争うカシミール地方で起きたテロで、2019年2月にプルワマで発生したイスラム過激派組織「ジャイシェ・ムハマド」による自爆テロ(インド治安部隊の隊員40人が死亡)以来、最も多くの犠牲者を出した攻撃といわれている。


目撃者の話によると、現場周辺の森から自動小銃を構えた軍服姿の男たちが6人出てきて、その場にいた観光客らの名前を聞き、イスラム教の詩句を唱えさせて、至近距離から銃殺したという。

テロ後にパキスタンに拠点を置くイスラム過激派組織「ラシュカレ・トイバ」系列の「抵抗戦線」(TRF)が犯行声明を出した。この声明で、ここ2年ほどの間に8万5000人超の「よそ者」(インドの他地域出身のヒンドゥー教徒のこと)がカシミール地方に移住したと主張。

観光客を狙った攻撃を正当化するため「彼らは観光客に成り済まして流入して定住し」カシミール地方をヒンドゥー化しようとしていると述べた。

カシミール地方のアナントナグ地区に位置するパハルガムは深い森と緑の草原で知られる景勝地で、国内外から多くの観光客が訪れる。

ここはまたヒンドゥー教の大規模な巡礼「アマルナート・ヤトラ」の出発地でもある。毎年7月から8月にかけて行われるこの巡礼にはインド全土から大勢の信徒が参加する。

試写会
『おばあちゃんと僕の約束』トークイベント付き特別試写会 5組10名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏への航空機贈呈、カタールが懸念一蹴

ワールド

援助トラック100台がガザ入りへ、国連がイスラエル

ビジネス

日銀が国債買い入れで意見聴取、一部メガバンクが減額

ビジネス

中国CATL、香港上場初日は16%高 景気懸念でも
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:関税の歴史学
特集:関税の歴史学
2025年5月27日号(5/20発売)

アメリカ史が語る「関税と恐慌」の連鎖反応。歴史の教訓にトランプと世界が学ぶとき

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    【クイズ】世界で1番「太陽光発電」を導入している国は?
  • 4
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到し…
  • 5
    【裏切りの結婚式前夜】ハワイにひとりで飛んだ花嫁.…
  • 6
    中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の…
  • 7
    実は別種だった...ユカタンで見つかった「新種ワニ」…
  • 8
    「運動音痴の夫」を笑う面白動画のはずが...映像内に…
  • 9
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」…
  • 10
    日本人女性の「更年期症状」が軽いのはなぜか?...専…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」する映像が拡散
  • 4
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 5
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 6
    中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の…
  • 7
    「運動音痴の夫」を笑う面白動画のはずが...映像内に…
  • 8
    トランプ「薬価引き下げ」大統領令でも、なぜか製薬…
  • 9
    あなたの下駄箱にも? 「高額転売」されている「一見…
  • 10
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到し…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
  • 5
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 6
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 8
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 9
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 10
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中