日本政府こそが責任感を持つべき...「産業化」した東南アジア特殊詐欺を「根絶」できない理由

VICTIMS AND PERPETRATORS

2025年4月25日(金)17時10分
イバン・フランチェスキーニ(豪メルボルン大学講師)、リン・リー(ベネチア・カフォスカリ大学博士号候補生)、マーク・ボー(リサーチャー、東南アジア在住)

カンボジア経済界の大物で、与党の上院議員も務める人物は、シアヌークビルやカンダルなどで詐欺と関連のある不動産を所有している。

カンボジア政治に詳しいシティ大学ロンドンのニール・ルフリン上級講師は「違法な経済活動は、利権と権力のシステムとずぶずぶの関係にあるということだ」と語る。


東南アジアの詐欺業界は10年足らずで「産業」と呼ぶにふさわしい規模へと急速に拡大した。詐欺業界を動かす犯罪組織はアイデア豊かで、当局を抱き込み、勢力範囲を広げ、新たな技術や手法を取り入れては、被害者から金を吸い上げ続けている。

アメリカ政府は最近まで、東南アジアのオンライン詐欺業界での人身売買や奴隷労働への対策に多額の資金を拠出してきた。

だが対外援助機関である米国際開発庁(USAID)の解体をトランプ政権が進めていることで、官民共に重要な活動資金や支援が得られなくなり、既存の取り組みも多くが混乱を来している。

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