ロサンゼルス山火事の原因は「気候変動」にあった?...予防対策に期待の「火災気候指数(FWI)」とは?

HIGH WIRE ACT

2025年4月16日(水)14時01分
ジェフ・ヤング(環境・サステナビリティー担当)

イートン火災で出た有害廃棄物の処理場所に関する住民説明会

イートン火災で出た有害廃棄物の処理場所に関する住民説明会 WALLY SKALIJーLOS ANGELES TIMES/GETTY IMAGES

木の枝などの植物や動物や強風は全て山火事の原因になりかねない。ドールらはマサチューセッツ州レノックスにある山火事の試験施設で大小の枝を送電ケーブルに投げたり、強風で電線同士が接触してショートする「ウインドスラップ」を測定したりして、電気設備の故障を検知する最先端装置をテストしている。

EPRIは23年からエネルギー省や世界の電力会社の山火事専門家約100人と協力し、火災リスクを減らす技術を50以上リストアップしている。導線の絶縁被覆、煙検知カメラ、装置故障の予測に役立つ電線センサーなどだ。


「どれも単独で万事解決とはいかないが、組み合わせれば発火を回避できる可能性ははるかに大きくなる」と、ドールは言う。

ドールによれば、リストアップされた防火策は世界の電力会社の少なくともいずれか1社で使われている。送電線を埋設すれば故障のリスクは大幅に低下する。

しかしコストが高すぎる地域や、地表近くに岩があって埋設不可能な地域もある。彼はレノックスで試験中のハイブリッド地上システムの可能性に期待している。「地上に設置して囲い、損傷して問題が起きないよう保護する」

送電線センサーの価格は下がっており、AI(人工知能)は問題を予測するためセンサーのデータを解析する時間を短縮するのに役立つとドールは言う。「特別なイノベーションなど、もう必要ない。アイデアは豊富にある」

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