最新記事
アメリカ

関税を擁護していたくせに...トランプの太鼓持ち・米保守系TV局の「手のひら返し」とは?

WHY THE SUDDEN REVERSAL?

2025年4月16日(水)15時30分
デービッド・マック(スレート誌ライター)

FOXはこの日、右派の視聴者が好みそうな他の話題にもたっぷり時間を割いた。朝の番組『FOX&フレンズ』では、「殺人犯の不法移民」を保護するいわゆる「聖域都市」や、トランスジェンダーの学生アスリートについての特集が放送された。

関税の話題になると、トランプ政権にあからさまに肩入れする姿勢が見られた。キャスターのエインズリー・エアハートは「トランプ政権が政権発足初期にこうした政策を実行しているのは、中間選挙までの数カ月間に国民がその恩恵を実感できるようにするためです」と、断言した。


スタジオの空気が15分で一変

そのFOXニュースでさえ、株式市場が下落を続ける状況を取り繕うのには苦労していた。9日朝にFOXビジネスに出演したJPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン会長兼CEOはキャスターのマリア・バーティロモに、アメリカが景気後退に陥る「可能性は高い」と、語った。この発言部分の映像は、この日繰り返し放送された。

それでもキャスターたちは、沈みゆくタイタニック号の船内で弦楽四重奏を演奏し続けようとするかのように力を尽くした。

「最悪のシナリオはまだ始まっていません」。FOXビジネスのチャールズ・ペイン記者は、トランプが関税停止を発表する直前にこう言った。ペインはこの日発表されたデルタ航空の良好な決算や住宅ローン需要の急増は、他のメディアが報じているほど経済状況が悪くないことを示していると熱く語った。これらの数字が相互関税の発表前の状況に起因していることは、全く無視して。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中