トランプに捨てられ現実を直視...ロシアの脅威を前に「嘆かわしいほど怠慢だった」と反省する欧州は「手遅れ」なのか

DEFENDING EUROPE

2025年4月4日(金)19時58分
エリー・クック(安全保障・防衛担当)、マシュー・トステビン(シニアエディター)

取るべき道は自主防衛の強化

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米ロの蜜月に抗議するベルリン市民 OMER MESSINGER/GETTY IMAGES

ロシアの脅威については、欧州各国の間にはさらに大きな認識ギャップがある。東欧諸国が強い警戒感を示す一方で、ハンガリーのビクトル・オルバン首相のように公然とロシアの肩を持つ指導者もいる。

東欧の加盟国に関するNATOの防衛計画の中枢を担うのは今もアメリカだと、即応部隊の演習でイギリス軍を指揮したアンディ・ワトソン准将はスムルダンで語った。NATOの即応部隊は危機に直ちに対応できる初動部隊として昨年創設されたが、欧州の軍隊に欠けているのは、まさにその即応能力だというのだ。


「理論上、ドイツは3個師団の陸軍力を誇っているが、国外への派遣となると、3カ月の猶予があっても、5大隊を出すのがやっとだろう」と、英シンクタンク・地政戦略評議会の安全保障の研究員ウィリアム・フリーアーは本誌に語った。

ラトビアの安全保障機関は今年2月、年内にNATOとロシアの直接的な軍事対決が起きる可能性は「かなり低い」と報告した。ただしウクライナで停戦が成立し、軍事資源を他の地域に回せるようになれば、ロシアは「5年以内にNATOの北東端で軍事的プレゼンスを強化できるだろう」とも警告している。

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