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ウクライナ戦争

大使館にも門前払いされ、一時は物乞いに...ロシア軍から脱走したインド人を待っていた「人間性のかけらもない世界」

ESCAPING THE RUSSIAN ARMY

2025年4月3日(木)17時24分
ジェームズ・ビアズワース(ジャーナリスト)

ウクライナのロシア占領地域でポーズを取るインド人のパサン

ウクライナのロシア占領地域でポーズを取るパサン PHOTO COURTESY OF RAJA PATHAN

このような事態になった背景には、ロシアとインドの複雑な関係がある。22年2月にロシアがウクライナへの全面侵略を開始すると、主要国は厳しい経済制裁に乗り出した。

だがインドは制裁に参加せず、それと引き換えに、割安に抑えられたロシア産原油の提供を受けてきた。それなのに、ロシアで命を落とすインド人が増えていることは、両国間の外交問題に発展しつつある。


暗躍する運び屋ビジネス

インドのナレンドラ・モディ首相は、24年7月の訪ロ時に、「誤解させられた」インド人の解放をプーチンに要請。24年10月のBRICS首脳会議で顔を合わせたときも、プーチンに同じことを求めた。

インド外務省はその後、ロシア政府はモディの要請を「承知」しており、インド人を解放し、遺族には補償金を支払うとの見方を示すようになった。

実際、マングキヤの父親が息子の遺体を引き取るために24年3月にモスクワを訪れたとき、補償金1030万ルピー(約1800万円)とロシアの市民権を提示されたという。

リャザンの軍事訓練施設を脱走したサルファラーズが、モスクワに到着したのは午前2時30分。軍服姿で、身分証明書も持っていなかったので、ひとまず24時間営業のカフェで夜を明かすことにした。

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