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イラン

なぜ中国はイラン核問題に首を突っ込むのか?

2025年3月17日(月)17時10分
リリー・パイク(フォーリン・ポリシー誌記者)
中国の王毅外相(中央)と、ロシア、イランの外務次官(3月14日、北京)

中国の王毅外相(中央)と、ロシア、イランの外務次官(3月14日、北京) POOLーREUTERS

<核問題でアメリカを袖にしたイランに、中国が近づく理由とは>

イランの核問題をめぐって緊張が高まるなかで、トランプ米大統領は当事者のイランをディール(取引)の場に引き出そうとしている。3月7日放送のインタビューでは、イランの最高指導者ハメネイ師に、核交渉に応じるよう求める書簡を送ったことを明らかにした。

ハメネイはトランプの呼びかけを即座に拒絶。「相手が合意を尊重しないと分かっているのに交渉する意味があるのか」と述べている。


しかし、イランはこれとは別の外交の場には参加した。3月14日、北京でロシア、中国との3カ国の外務次官級協議が行われたのだ。

3カ国は、イランの核問題に関して足並みをそろえた。共同声明では、「制裁と圧力、武力による脅しを放棄」するべきだと主張し、トランプ政権の強硬路線を牽制した。

最近、イランの核問題をめぐる状況は緊迫の度を増している。IAEA(国際原子力機関)によると、イランは2月までの3カ月余りの間に、60%以上の濃縮度に高めたウランの貯蔵量を1.5倍に増やしているという。イランは程なく、濃縮度を90%まで高める可能性があると、専門家はみている。ウランの濃縮度が90%に達すると、核兵器に転用可能とされている。

一方、報道によると、アメリカの情報機関は、イスラエルがイランの核関連施設への大規模な攻撃を計画していると結論付けたという。

こうした状況に、中国政府は懸念を募らせている。「中国はイランの核危機が深刻な局面に近づきつつあると考えていると思う」と、カーネギー国際平和財団の趙通(チャオ・トン)上級研究員は言う。

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