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アメリカはすでに追い付かれた----「AI大国・中国」の台頭とイノベーションの行方

Emerging Chinese AI

2025年2月12日(水)16時30分
高口康太(ジャーナリスト、千葉大学客員教授)

ユニークな組織運営方針

1つは「自然な分業」。エンジニアに上下関係はなく、皆がフラットな立場にいる。誰が何を担当するかは上司が決めるのではなく、各自が得意な分野に取り組んだ結果、自然と役割分担がなされていくという。

ディープシークの革新的技術にMLA(マルチヘッド・レイテント・アテンション)がある。メモリー使用量を大幅に削減し、AIの運用コストを引き下げることに成功したこの発見も、「自然な分業」から生まれたものだ。


ある若いスタッフがアイデアを思い付き、ほかのエンジニアの協力を経て数カ月で完成させたという。ディープシークでは若手が思い付いたとっぴなアイデアでも、可能性が認められればその開発にリソースをつぎ込むことが認められる。

そして「競馬方式の排除」だ。中国の大手IT企業では同じ目的を持ったプロジェクトを同時に複数発足させ、競わせることが一般的だ。ディープシークでは競馬方式は無駄が多いとして各自が協力し目標達成することを目指しているという。

なぜ無名のディープシークが、これほどの人材を確保できたのか。梁は「それはわれわれが最も困難なタスクに挑んでいるからだ。トップ人材を引き付ける最大の魅力は、世界の最難関の問題に挑むことだからだ」と、答えている。

「アメリカや日本の企業は時間のかかる基礎研究に取り組むが、中国はすぐに結果の出る応用研究にしか手を出さない」という既存の図式に当てはまらない、中国企業が現れているのだ。

「ディープテック」に専念する新世代の登場は、中国のイノベーションをさらに一段高いレベルに引き上げるだろう。

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