トランプのおかげで「プーチンの夢」が叶う?...再来するトランプ・ワールドの外交・内政・経済を徹底予測

NASTIER AND MORE BRUTAL

2025年1月17日(金)14時00分
グレン・カール(本誌コラムニスト、元CIA工作員)

トランプと共和党は減税と財政赤字の削減、そして経済成長の妨げとなる規制の緩和を公約している。だがトランプの求める減税を実行すれば財政赤字はさらに4兆ドル以上も積み上がるはずで、共和党が最優先課題とする財政赤字の削減には明らかに逆行する。

そもそも1期目のトランプ政権の減税だけで連邦政府の債務は40%(金額では8兆ドル以上)も膨れ上がった。しかも減税による恩恵の83%を得たのは、全世帯の1%にすぎない最富裕層だ。


トランプが万能薬と信ずる関税も、事実上は新たな連邦レベルの消費税に等しく、物価上昇で国民に年間1700ドル程度の新たな負担を強いることになるという。経済学をかじった人なら知っているはずだが、輸入品にかかる関税を払うのは国内の消費者であり、外国にいる生産者ではない。

「雇用を奪う膨大な数の規制を削減する準備を進めている。新しい規制を1つ定めるごとに10個の古い規制を撤廃する」。トランプはそう言っているが、トランプ政権1期目の実績を見ると、確かに規制の増加ペースは落ちていたが、それでも撤廃した数の2倍の新たな規制が導入されている。

工業部門に対する排ガス規制を緩和すれば企業は潤うが、住民の健康被害が増えて医療費が膨らむ。それでいいのか? いずれにせよ規制緩和は難しい仕事であり、その効果はゆっくりと、漸進的にしか表れてこないものだ。

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