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荒川河畔の原住民⑮

わが友人、ホームレス、テントに暮らす荒川の釣り名人。奇跡が起きることを祈っている

2024年12月11日(水)21時00分
文・写真:趙海成

桂さんは国内外の大きなニュースにも関心を持っており、まさに「荒川のほとりにいて、心が全世界につながっている」といえる。

彼と話をしているうちに、世界で最近起きた重要な事件について多く知っていることに気づいた。テレビもなく、新聞も購読せず、パソコンや携帯電話も使わず、どこから情報を得ているのか不思議だと思って彼に聞いた。

桂さんはラジオのニュース番組を毎日聞き続けているほか、仕事や買い物に出かけたときにテレビや新聞を見つけると、立ち止まって見たり読んだりすると教えてくれた。 また、桂さんは人と話すのが好きで、それによっても多くの情報を得ることができている。

桂さんは普段、音楽を聴くのが趣味だ。特にテレサ・テンの歌は、毎日聴いても飽きないくらい大好きで、よく夜中に起きて聴いているという。

テレサ・テンの中国語の代表曲は「何日君再来」(「いつまた会えるのだろうか」という意味)。桂さんはその曲が大好きなので、私はそれを「何日桂兄再回来」(いつ桂兄さんに再会できるのだろうか)という祈りの言葉に換えて、桂さんに伝えたい。

※桂さんの関係者の希望により、現状に関する記述を変更しました(2025年1月11日)。


(編集協力:中川弘子)


[筆者]
趙海成(チャオ・ハイチェン)
1982年に北京対外貿易学院(現在の対外経済貿易大学)日本語学科を卒業。1985年に来日し、日本大学芸術学部でテレビ理論を専攻。1988年には日本初の在日中国人向け中国語新聞「留学生新聞」の創刊に携わり、初代編集長を10年間務めた。現在はフリーのライター/カメラマンとして活躍している。著書に『在日中国人33人の それでも私たちが日本を好きな理由』(CCCメディアハウス)、『私たちはこうしてゼロから挑戦した──在日中国人14人の成功物語』(アルファベータブックス)などがある。

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