最新記事
EV

イギリス自動車業界、EV販売義務化で2024年の負担は75億ドルに

2024年11月27日(水)16時28分
エレスメア・ポート

英自動車工業会(SMMT)は26日、英政府が導入した電気自動車(EV)販売義務化の2024年目標を達成するために、値引きと法令順守で合わせて約60億ポンド(75億2000万ドル)近くの負担が生じるとの見通しを示した。写真はエレスメア・ポートで2023年9月撮影(2024年 ロイター/PHIL NOBLE)

英自動車工業会(SMMT)は26日、英政府が導入した電気自動車(EV)販売義務化の2024年目標を達成するために、値引きと法令順守で合わせて約60億ポンド(75億2000万ドル)近くの負担が生じるとの見通しを示した。

SMMTのマイク・ホーズ最高責任者(CEO)は声明で「収益性と存続性が危ぶまれ、雇用が危機に瀕している」と警鐘を鳴らした。


 

前保守党政権が導入したゼロエミッション車(ZEV)販売義務化は、2024年に新車販売台数の22%以上をZEVにすることを義務付けている。目標を達成できない場合、自動車メーカーは違反した車1台につき1万5000ポンドの罰金が科されるか、目標値を上回ったメーカーから二酸化炭素(CO2)排出枠を買うことになる。

SMMTによると、自動車メーカーは義務化目標達成のために今年40億ポンド相当の値引きを行う見込み。目標達成には奨励金を払う以外に選択肢がなく、それでも目標の22%を達成できそうにないため、メーカーはおよそ18億ポンドのコンプライアンスコストに直面するという。

スターマー首相の報道官は、労働党政権はZEV販売義務化の修正について協議を開始するとしつつ、ガソリン車とディーゼル車の新車販売を段階的に廃止する期限である2030年は維持すると説明した。

イングランド北部に工場を持つ日産自動車は20日、政府にZEV販売義務化目標の緩和を要請した。また欧米系ステランティスは6月、EV販売の優遇措置を強化しなければ英国の2工場を閉鎖する可能性を示唆。今月26日にイングランド南部ボクソールの商用車工場を閉鎖すると発表した。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


ニューズウィーク日本版 教養としてのBL入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月23日号(12月16日発売)は「教養としてのBL入門」特集。実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気の歴史と背景をひもとく/日米「男同士の愛」比較/権力と戦う中華BL/まずは入門10作品

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


ビジネス
「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野紗季子が明かす「愛されるブランド」の作り方
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米、台湾への武器売却承認 ハイマースなど過去最大の

ビジネス

今回会合での日銀利上げの可能性、高いと考えている=

ワールド

中国、「ベネズエラへの一方的圧力に反対」 外相が電

ワールド

中国、海南島で自由貿易実験開始 中堅国並み1130
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 5
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中