最新記事
ウクライナ戦争

北朝鮮製ミサイルに手を焼くウクライナ、ロシア領内のある兵器庫をドローンで徹底攻撃

Ukraine Goes After Russia's North Korean Arms Stockpiles

2024年10月10日(木)18時38分
エリー・クック
ウクライナ軍戦車部隊

ウクライナの情報当局によると、ロシア軍部隊は北朝鮮からきた武器弾薬を大いに活用している(写真は1月31日、ウクライナ軍戦車部隊) Latin America News Agency via Reuters Connect

<ウクライナにとって「最悪の問題は北朝鮮からくる」── 北朝鮮から武器弾薬が搬入されると数日後にはロシア軍が大規模攻勢に出てくる、というパターンまで明らかになり、北朝鮮に「直接攻撃」を仕掛けることにした>

今やロシアの「主要な同盟国」になった北朝鮮から提供された武器弾薬が保管されているロシア西部のブリャンスク州の兵器庫に、ウクライナ軍が夜を徹して攻撃を加えた模様だ。

【動画】兵器庫から上がる火の手。弾薬誘爆の音が特徴的

「大規模な兵器庫が燃え上がる炎で夜空を明るく照らされた」と、ウクライナ政府系の戦略的通信センター・SPRAVDIが9日に伝えた。

兵器庫では一晩中爆発が続き「夜明けまで続いた」と、SPRAVDIはソーシャルメディアの公式サイトで述べた。ウクライナの攻撃だとはっきり認めたわけではないが、「ロシアの戦争マシンを回している兵站、武器、石油産業の3つを完全に解体することが平和への唯一の道だ」と間接的に認めている。

この兵器庫は、ウクライナとの国境から114キロ程離れたブリャンスク州の町カラチェフにあると、ウクライナ国家安全保障防衛会議の幹部アンドリー・コバレンコがメッセージアプリのテレグラムに投稿した。「ここには北朝鮮が提供した武器弾薬や対空砲などが保管されている」

ロシア非常事態省は「9日にカラチェフ周辺で爆発物の爆発があった」ことを確認したとして、非常事態を宣言した。

武器弾薬は「北朝鮮頼み」

カラチェフ近くで9日に撮影したとされる爆発の映像がネット上で多数拡散されているが、本誌はその真偽を確認できていない。

ロシアのテレグラム・チャンネルが公開した映像では、カラチェフの住民らが兵器庫のほうから「炎が上がった」、「弾薬が爆発した」などと語っている。

本誌はロシア国防省にメールで確認中だ。

ロシア政府は9日、前夜から未明にかけて飛来した47機のウクライナのドローン(無人機)のうち、24機を迎撃したと発表したが、詳細は明らかにしていない。

ブリャンスク州のアレクサンドル・ボゴマス知事は、「死傷者も損害も一切ない」と述べたが、救急隊員が現場周辺の数カ所に出動した。

ロシアは2022年2月のウクライナ侵攻開始後、西側の制裁を科され、イラン、中国、北朝鮮などの友好国への軍事依存を強めている。長引く戦闘でロシアの武器弾薬は底を突き、国内の防衛産業がフル操業しても前線には十分に届かないありさまで、北朝鮮が大量に送り込む兵器はロシア軍の頼みの綱だ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

オマーン、湾岸諸国初の個人所得税導入 2028年か

ビジネス

日経平均は3日続落、米イラン核施設攻撃を嫌気 円安

ワールド

イスラエル、イラン首都と西部を攻撃 イラン外相がプ

ワールド

韓国国防相に64年ぶり文民を登用、外相や統一相も指
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 2
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり得ない!」と投稿された写真にSNSで怒り爆発
  • 3
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「過剰な20万トン」でコメの値段はこう変わる
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 7
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 8
    EU、医療機器入札から中国企業を排除へ...「国際調達…
  • 9
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 10
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 7
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 8
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 9
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 10
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 10
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中