「イランは無防備」「50年に1度の大チャンス」...中東大戦へのカウントダウンが始まったのか?

The Real Tests Are to Come

2024年10月9日(水)13時16分
マイケル・ハーシュ(フォーリン・ポリシー誌コラムニスト)

民主主義防衛財団のタレブルは、今後イスラエルが何をするにせよ、「かなり大規模なものになる」と予測する。

今回の攻撃でイスラエル側に死傷者が出なかったために全面戦争は回避できたが、イランは他国に対する「史上最大規模の弾道ミサイル攻撃」という「レッドライン(越えてはならない一線)」を越えたと彼は指摘する。


アナリストらは、マスード・ペゼシュキアン大統領が率いる穏健派のイラン新政府が、制裁解除と引き換えにアメリカとの核交渉を再開しようとしているなか、イランはイスラエルへの反撃を慎重に調整しようとしたと考えている。

イランのジャバド・ザリフ副大統領は、2015年の核協議の際のイラン側の交渉責任者だった。

10月1日のミサイル攻撃には、高性能固体推進薬を推進力とする約180発の弾道ミサイルが使われた。これまでより強力なもので、事前通知から攻撃までの時間は4月の攻撃時より短かった。イラン政府が約3000発といわれる膨大な量の武器を使い切らないよう小出しにしていることも明らかだ。

米インディアナ大学のフセイン・バナイ准教授(国際政治)は「イランはイスラエルに対し、軍事標的を狙った限定的な交戦は構わないと示唆している」と言う。

「だがもしネタニヤフが、イランによる10月1日のミサイル攻撃への報復として、それを超える規模の攻撃を行う選択をすれば、イランはエスカレーションを抑える戦略を放棄せざるを得ない可能性がある」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

インドがパキスタンの「テロ拠点」攻撃、26人死亡 

ワールド

インドネシア中銀、成長と物価安定の「最適なバランス

ビジネス

塩野義、鳥居薬に1株6350円でTOB 完全子会社

ビジネス

日経平均は8日ぶり反落、買い一巡後は方向感欠く 米
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 2
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 3
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗と思え...できる管理職は何と言われる?
  • 4
    分かり合えなかったあの兄を、一刻も早く持ち運べる…
  • 5
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 6
    「欧州のリーダー」として再浮上? イギリスが存在感…
  • 7
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 8
    首都は3日で陥落できるはずが...「プーチンの大誤算…
  • 9
    「関税帝」トランプが仕掛けた関税戦争の勝者は中国…
  • 10
    ザポリージャ州の「ロシア軍司令部」にHIMARS攻撃...…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 3
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 10
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中