最新記事
東欧

バルト三国で、急速に強まるロシアの「侵攻」への警戒感...国境に「竜の歯」「ハリネズミ」を設置

NATO allies fortify Russian border with "dragon's teeth"

2024年9月15日(日)13時05分
イザベル・バンブルーゲン
リトアニアがロシアの侵攻を恐れ竜の歯を設置

ウクライナのゼレンスキー大統領と会談したリトアニアのナウセダ大統領(キーウ、9月11日) Ukrainian Presidential Press Service/Handout via REUTERS

<ウクライナへの支援を理由に、NATO加盟国への攻撃の可能性をちらつかせるロシア。その侵攻に備えてリトアニアが「竜の歯」で防御を強化>

NATO加盟国であるリトアニアの国防省は、ロシアへの警戒の高まりから国境近くの橋の手前に地雷などと共に「竜の歯」を設置したと発表した。竜の歯とは第二次大戦以降、戦車などの進軍を阻止するために使われてきたコンクリート製の「防御用障害物」で、その名の通り地面からピラミッド型の巨大な歯がずらりと突き出したように見える。

■【写真】国境にずらり並んだ「竜の歯」「ハリネズミ」...バルト三国で、ロシア「侵攻」への警戒感が急速に高まる

同省は9月5日のX(旧ツイッター)への投稿で、「より効果的な防衛を確保するための予防措置」として、リトアニアとロシアのカリーニングラード州をつなぐクイーンルイーズ橋の手前に設置したと説明。声明で「本日、リトアニアはパニャムネにある橋とその近くに障害物を設置した」と述べ、さらにこう続けた。「設置された障害物には地雷、ハリネズミ(鉄骨を組み合わせた対戦車障害物)や竜の歯などが含まれる」

第2次世界大戦中に多く使用された「竜の歯」は強化コンクリート製の障害物で、戦車や機械化歩兵旅団の進軍を阻止することがその目的だ。

2022年2月にロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナへの本格侵攻を開始して以降、ロシアとNATOの間の緊張は高まっている。ロシアはNATOがウクライナへの軍事支援や武器の供与を行うことで戦争に関与していると非難している。ロシアの当局者らは定期的に、ウクライナへの支援を理由にNATO加盟国に対する攻撃を行う可能性に言及してきた。

本誌は今回の件についてロシア国防省にメールでコメントを求めたが、これまでに返答はない。

7月にはラトビアも国境沿いに障害物を設置

リトアニアに先立ち、7月にはラトビアがロシアとの国境沿いにコンクリート製の対戦車障害物を設置すると発表。ラトビアの国防省は当時本誌に対して、ラトビア政府が3月5日に承認した東部国境軍事強化・移動防止計画に沿って、これらの防御用障害物を「調達し、ラトビア東部の国境地帯の近くにある臨時の保管所に輸送中」だと説明。「障害物は同計画に従って国境地帯に設置される」と述べていた。

リトアニアの国防省は5日に発表したプレスリリースの中で、「竜の歯」の設置は同国の「対人および対車両防御措置」の一環として行われるものだと述べた。同国のラウリナス・カスチュナス国防相は、「クイーンルイーズ橋はロシア連邦の所有物であるため、本日われわれが障害物を設置できるのはこの橋の手前のみだ。ここにハリネズミや竜の歯、有刺鉄線を設置することで、敵の部隊の動きを阻止することができる」と説明した。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国こそが「真の脅威」、台湾が中国外相のミュンヘン

ワールド

米中「デカップリング論」に警鐘、中国外相がミュンヘ

ビジネス

ウォルマート決算や経済指標に注目、「AIの負の影響

ワールド

ドバイ港湾DPワールドのトップ辞任、「エプスタイン
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 2
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 3
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活動する動画に世界中のネット民から賞賛の声
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    それで街を歩いて大丈夫? 米モデル、「目のやり場に…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 8
    世界市場3.8兆円、日本アニメは転換点へ――成長を支え…
  • 9
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 10
    【インタビュー】「4回転の神」イリヤ・マリニンが語…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 6
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 7
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 10
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中