最新記事
韓国

韓国でLINEユーザーが急増した理由 日本への反発?

2024年7月17日(水)15時55分
佐々木和義
韓国

韓国で急激にLINEのダウンロード数が増えている。その理由は...... 撮影:佐々木和義

<韓国は全人口の93%がカカオトークを利用しており、国民的メッセンジャーとなっているが、急激にLINEのダウンロード数が増えている。その理由は......>

韓国でLINEのダウンロード数が増えている。5月には通信アプリ部門で1位を記録、国民的メッセンジャーのカカオトークを上回った。

世界でLINEを月1回以上するアクティブユーザーは約1億9600万人。半数近い9600万人が日本で、韓国内の市場シェアは20%以下、日常的な利用者は5%未満となっている。韓国は全人口の93%がカカオトークを利用しており、LINEは日本人との通信やカカオトークが使えないときの代用手段が多いようだ。

企業、公共機関や行政機関など、カカオトークに依存

カカオトークは2010年に誕生すると瞬く間に広がった。オフィスで社員同士がカカオトークでコミュケーションを取り、電車やバスでも同行者がカカオトークで会話した。言葉を交わす方が早いとカカオ現象を揶揄する声が現れる一方、記録に残ると肯定する人もいて賛否両論渦巻いたが、いまや個人間の連絡から社内連絡や取引先、企業、公共機関や行政機関など、カカオトークに依存しており、韓国生活に欠かせないツールとなっている。

22年10月、そのカカオトークに大規模な通信障害が発生した。10月15日午後3時過ぎ、ソウル郊外のデータセンターで小規模火災が発生。漏電を懸念した消防が電力の遮断を要請し、すべてのサーバーが停止したのだ。カカオトークに加えてカカオマップ、オンライン決済、カカオタクシーなど5000万人が影響を受けたという。韓国のアクティブユーザーは4845万人で世界でも5375万人。利用者の大部分が影響を受けたことになる。

カカオトークは民間企業のサービスだが、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が「再発防止策や障害発生時の対応態勢を整備しておく必要がある」としてカカオに言及。また、施設管理に加えて企業による独占・寡占を規制する法整備が必要という声も高まるなか、少なからぬ韓国人が代替手段としてLINEを入手した。

大規模障害から1年7か月経った今年5月、ふたたび不具合が発生した。5月13日午後1時44分から6分間にわたって通信障害が起き、20日にも昼2時52分から6分間、21日には朝8時30分から9時24分まで1時間近くにわたって障害が発生、LINEのダウンロード数が急増したのだ。

LINEが日本に奪われないように利用しようと呼びかけ

LINEが日本に奪われないように利用しようと呼びかける人たちも現れた。
LINEは韓国インターネット最大手のネイバーの日本子会社が開発したアプリである。ネイバーはワッツアップ(WhatsApp)やカカオトークに対抗するネイバートークを2011年2月に開発したが、カカオの牙城を崩すことはできなかった。直後、東日本大震災で家族や親戚との連絡に苦心する様を見た李海珍会長が日本での開発を決め、同年6月、LINEサービスを開始した。

2013年以降、LINE株式会社が運営を担ったが、2021年にソフトバンクとネイバーが共同出資したAホールディングス傘下のLINEヤフーに移行した。運営はソフトバンクが主導、技術やサーバはネイバーに依存した。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

高市首相、初閣議で経済対策指示へ ガソリン減税と「

ビジネス

米GM、通年利益見通し引き上げ 関税の影響額予想を

ワールド

インタビュー:高市新政権、「なんちゃって連立」で変

ワールド

サルコジ元仏大統領を収監、選挙資金不正で禁固5年
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 5
    TWICEがデビュー10周年 新作で再認識する揺るぎない…
  • 6
    米軍、B-1B爆撃機4機を日本に展開──中国・ロシア・北…
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 9
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 10
    若者は「プーチンの死」を願う?...「白鳥よ踊れ」ロ…
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 8
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 9
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 10
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中