最新記事
インド経済

インド株4年ぶりの安値、それでも世界3位の経済大国への道は揺るぎない

India's Stocks Suffer Biggest Loss in 4 Years Amid Close Election

2024年6月5日(水)15時21分
オマール・モハメド
与党。インド人民が単独過半数に届かず喜びも半ばのモディ首相

与党。インド人民が単独過半数に届かず喜びも半ばのモディ首相(6月4日、ニューデリー)  Photo by Sanchit Khanna/Hindustan Times/Sipa USA

<総選挙で、勝利を確実視されていたモディの与党・インド人民党の議席が単独過半数を割る展開で株価は暴落したが、2年で6〜7%の成長力に変わりはない>

インドの総選挙で、現職のナレンドラ・モディ首相率いる与党・インド人民党(BPJ)の議席数が予想を下回ったことを受けて、インド株は下落し、時価総額で数千億ドルが失なわれた。

【動画】インドの空港で搭乗客の荷物から見つかったヒョウの赤ちゃん


 

ブルームバーグ・ニュースによれば、インド株50銘柄で構成されるNifty 50指数は6月4日に5.9%下落し、1日の下落率としては過去4年間で最大となり、時価総額で3900億ドル近くが失われた。総選挙でインド人民党が単独過半数を獲得できず、組閣において他党の助けを必要と判明したことが嫌われた。

キャピタル・エコノミクスの新興市場担当次席エコノミスト、シラン・シャーによれば、インド人民党は下院で過半数の272議席を大きく割る240議席にとどまった。5年前の総選挙で獲得した303議席を劇的に下回る。

今後10年で経済は2倍に

「モディ首相率いるインド人民党は2014年以来、下院で単独過半数を維持してきたが、今回は過半数を割れたようだ」と、シャーは言う。「これは大きな後退だ」

インド人民党率いる与党連合は過半数を維持したが、政権運営は連立パートナーに頼らざるを得なくなると。

前日の6月3日、インドの株式市場は、出口調査でインド人民党の圧勝が確実視されたことを受け、記録的な高値を付けていた。「それが今は、3月中旬の水準だ」と、シャーは言う。

モディは、インドのリーダーとして3期目を務める予定で、今後も、成長が見込まれる同国経済の指揮を執ることになる。しかし、インド人民党の議席数が後退した今、改革は難しくなるだろうとシャーは指摘する。

インドの経済改革はもともと不確実なものだった。とくに労働市場の構造改革は難題だ。

それでもインド経済は、今後2年間で6〜7%成長するだろうとシャーは予測する。

「今後10年では2倍以上に成長する見通しだ」とシャーは続ける。「数年以内に日本とドイツを抜き、世界3位の経済大国になる勢いは変わらない」

(翻訳:ガリレオ)


ニューズウィーク日本版 Newsweek Exclusive 昭和100年
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年8月12日/19日号(8月5日発売)は「Newsweek Exclusive 昭和100年」特集。現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米景気減速を一部FRB当局者が懸念、近い将来の利下

ワールド

トランプ氏、早ければ来週にプーチン大統領と直接会談

ビジネス

米リフト、第2四半期売上高は予想下回る 国内の旅行

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、FRB利下げ観測を意識 7
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 2
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの母子に遭遇したハイカーが見せた「完璧な対応」映像にネット騒然
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医…
  • 5
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 6
    【徹底解説】エプスタイン事件とは何なのか?...トラ…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    大学院博士課程を「フリーター生産工場」にしていい…
  • 9
    バーボンの本場にウイスキー不況、トランプ関税がと…
  • 10
    かえって体調・メンタルが悪くなる人も...「休職の前…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 8
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 9
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 10
    メーガンとキャサリン、それぞれに向けていたエリザ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 6
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 7
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 10
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中