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トランプ前政権を分析してわかった対中制裁「想定外の影響」...60%超の関税は実現不可能?

CHINA-US TRADE WAR 2.0

2024年3月9日(土)17時15分
ジャーチェン・シー

トランプは口で言うほど貿易戦争の被害者に同情していないかもしれないが、ヒラの共和党議員の声を全く無視するわけにはいかない。2022年の中間選挙ではトランプが推す候補者の戦績は振るわなかった。

今ではトランプも気付いているはずだ。政権に復帰してもねじれ議会が続けば手足を縛られているようなもの。今は共和党が僅差で下院の多数議席を握っているが、今回の選挙、さらに2年後の中間選挙でも何とかして共和党を勝たせなければならない。

前下院議長の解任をめぐる混乱を経た今、多少なりとも理性のある共和党議員は不確実性より安定を選ぶはずだ。貿易戦争の再開は、それでなくとも足並みの乱れた共和党にさらなる不協和音を巻き起こす。

バイデン政権はトランプが課した対中関税の大半を維持してきた。となるとトランプは大統領選本選に向け、民主党以上の対中強硬姿勢をアピールするため「米中貿易戦争2.0」をぶち上げ続けざるを得ない。

だが過去3回の選挙からトランプが学べる教訓があるとすれば、それは自身と自身の党が回り回って貿易戦争の政治的代償を払うことになる、ということだ。それでも貿易戦争に打って出る? いや、共和党内の反発が大きな抑止力になるはずだ。

From thediplomat.com

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