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米外交

アメリカの強固な台湾支援を覆すかもしれない1つの要因

US RESOLVE

2024年1月19日(金)16時05分
ロバート・サッター(米ジョージ・ワシントン大学教授)

だが、現在の台湾の世論は中国に厳しい見方をしている。このため侯は、選挙戦で「親中派」のレッテル払拭に努め、自分が総統になったら、中国の攻撃を抑止するアメリカの努力に協力すると、米政府高官や識者に言い聞かせてきた。

台湾総統選の結果が、アメリカの対台湾政策に与える影響は限定的とみられるとはいえ、今年11月にはアメリカでも大統領選が控えている。もし、その結果、ドナルド・トランプ前大統領が返り咲いたり、「アメリカ・ファースト(アメリカ第一主義)」を唱える候補が勝利すれば、アメリカの台湾支援と対中強硬策には変化が訪れるかもしれない。

何しろ大統領時代のトランプの対中政策には一貫性がなく、アメリカが長年をかけて築いてきた同盟関係を傷つける言動も多かった。そのせいで中国の挑戦からアメリカを守る取り組みも一時は揺らいだ。

アメリカの外交政策は大統領に大きな権限があるから、2025年にトランプのような大統領が登場すれば、米中のパワーバランスは中国に有利に働くだろう。それはアメリカと同盟国やパートナー諸国、とりわけ台湾に損失をもたらす恐れがある。

From thediplomat.com

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