最新記事
ウクライナ情勢

なぜアメリカは今、ウクライナのために「敗戦」を望むか

Does the US Actually Want Ukraine to Defeat Russia?

2023年11月28日(火)18時48分
デービッド・ブレナン
旧ソ連統治下で起きた大飢饉ホロドモールの犠牲者を追悼するゼレンスキー

旧ソ連統治下で起きた大飢饉ホロドモールの犠牲者を追悼するゼレンスキー(11月25日、キーウ) REUTERS/Viacheslav Ratynskyi

<ロシアに奪われた全領土を奪還できる見込みは薄い。だが今なら、ロシアの侵略の企てを挫いて「勝った」のはウクライナだと世界が知っている。西側から供与される資源は、復興に使うべきではないか

【動画・画像】ゼレンスキー「影武者」論の虚実

 

ゼレンスキーは、西側諸国からロシアとの交渉のテーブルに戻るよう求める圧力はないと否定する。ロビイストのバジディッチも、西側がウクライナに和平交渉を無理強いしている事実はないとの見方を示した。ウクライナ国民は依然としてロシアによる占領からの「完全解放」を支持していると指摘した。

国民に不人気な和平の提案はゼレンスキーの大統領としての任期を縮めるものになる可能性もあるとバジディッチはつけ加えた。

米シンクタンク「外交問題評議会」のリチャード・ハース会長とチャールズ・カプチャン上級研究員は11月にフォーリン・アフェアーズ誌に寄せた論文の中で、迫り来る冬と過ぎ去った夏の反攻に対する失望感が、「ウクライナと同盟諸国が推し進めている現在の戦略を全面的に見直す必要性」を後押ししていると指摘した。

「成功の再定義」が必要

ハースもカプチャンも本誌に対して、ウクライナはまだその段階に至っていないと述べた。「より幅広い国民的な議論をもっと早い段階で行うべきだったし、行う必要がある」とカプチャンは述べ、さらにこう続けた。「現在の政治環境では、このような議論を行うことはタブーに近い」

彼はさらに「これは危険な状況だ」と述べる。「戦争が際限なく続く場合のパターンだ。何が望ましいかだけではなく、何が可能かを考えるのも優れた戦略だ」

ハースは、領土の完全解放を断念するのではなく一時中断するように「成功を暫定的に再定義『再」補足する」ことを提案している。「より幅広い定義の成功を達成するまでに、ウクライナは何年も、あるいは何十年も待たなければならないかもしれない」と彼は説明し、こう続けた。「もしかしたらロシアでプーチンの次、あるいはさらにその次の体制が誕生するまで待たなければならないかもしれない」

領土の完全解放は「軍事バランスを考えると達成できない可能性が高い」とハースは指摘する。「これで2回の戦闘シーズンが終わった。これが3回目、4回目、5回目になればその目標が達成できると考える根拠が見当たらない」

日本企業
スパイス企業の新戦略...エスビー食品が挑む「食のアップサイクル」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米耐久財コア受注、2月は0.6%増 中東紛争で先行

ワールド

イラン、サウジ・ジュベイルの石化コンビナート攻撃 

ワールド

トルコのイスラエル総領事館前で白昼の銃撃戦、犯人1

ワールド

再送-一部原油現物が最高値、150ドルに迫る 供給
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライナ軍司令官 ロシア軍「⁠春の​攻勢」は継続
  • 3
    米軍が兵器を太平洋から中東に大移動、対中抑止に空白
  • 4
    「王はいらない」800万人デモ トランプ政権への怒り…
  • 5
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 6
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 7
    【後編】BTS再始動、3年9カ月の沈黙を経て──変わる音…
  • 8
    5日間の寝たきりで髪が...ICUに入院した女性を襲っ…
  • 9
    「人間の本性」を見た裁判官が語った、自らの「毒親…
  • 10
    スパイス企業の新戦略...エスビー食品が挑む「食のア…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 3
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 6
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 7
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 8
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 9
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 10
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中