最新記事
映画

大物セレブも続々...作風真逆の映画『バービー』と『オッペンハイマー』のはしご鑑賞が北米でなぜか大流行

2023年7月27日(木)14時15分
千歳香奈子
『バービー』と『オッペンハイマー』

NYタイムズスクエアに出された『バービー』の宣伝(左)と『オッペンハイマー』のオリジナルポスター From Left:rblfmr-Shutterstock, Stefano Chiacchiarini '74-Shutterstock

<本来なら観客層が重なるはずのない映画『バービー』と『オッペンハイマー』だが、同日公開されたことではしご鑑賞する客が続出。ネット上にはコラージュ画像が溢れ、カラフルなキノコ雲のミームまで出回っている>

【写真】キノコ雲のミームも...ネットを賑わす『バービー』と『オッペンハイマー』コラージュの数々

全米脚本家組合(WGA)と全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)のWストライキが暗い影を落とすハリウッドで今、バービー人形と"原爆の父"オッペンハイマー旋風が吹き荒れている。

 
 
 
 

7月21日に同日公開されたマテル社の世界的人気玩具を実写映画化した『バービー』(8月11日日本公開)と第二次世界大戦を背景に原子爆弾開発に携わった物理学者ロバート・オッペンハイマーを描いたクリストファー・ノーラン監督の最新作『オッペンハイマー』(日本公開未定)という、まったく作風の異なる2作品が、映画館を席巻。老若男女問わず幅広い年齢層が押し寄せ、バーベンハイマー(Barbie+Oppenheimer=Barbenheimer)」という言葉が生まれるなど、社会現象化している。

はしご鑑賞する観客続出

本来なら観客層が重ならないはずの2作品だが、『キル・ビル』や『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』などで知られるクエンティン・タランティーノ監督やエミリー・シューマーらセレブも2本立て続けに観るなど、はしご鑑賞する観客が続出。「バービーコア」と呼ばれる全身ピンクの観客と全身黒のオッペンハイマーファンがコスプレを披露するお祭り騒ぎで、セレブやネットを巻き込む一大ムーブメントとなっている。

『バービー』は週末に今年最高の北米オープニングとなる1億6200万ドルを稼ぎ出し、『オッペンハイマー』もそれに次ぐ8245万ドルと好スタートを切った。軍配が上がったのはバービーだが、相乗効果で両作品とも今夏最大のヒット作になると予想されたトム・クルーズの最新作『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』やハリソン・フォードが15年ぶりにインディを演じた『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』を超える興行を記録。ノーラン監督にとっても『ダークナイト』シリーズに次ぐヒットとなった。

ハリウッドを救う予想外の快挙

カラフルなビジュアルからも分かるように『バービー』のターゲットは若い女性で、かたや上映時間が3時間に及ぶ伝記映画『オッペンハイマー』は家族連れが多い夏の大作映画シーズンには似つかわしくないシリアスな内容。

しかし、そんな正反対とも言える作品を直接対決させた戦略は大当たりし、ピンクのシャツやパンツ姿の男性が『バービー』を楽しみ、若い女性が『オッペンハイマー』を鑑賞するというこれまでにない現象も起きている。

経営
「体が資本」を企業文化に──100年企業・尾崎建設が挑むウェルビーイング経営
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、香港紙創業者の有罪「残念」 中国主席に

ワールド

ゼレンスキー氏、ロシアが和平努力拒否なら米に長距離

ビジネス

ナスダックが取引時間延長へ申請、世界的な需要増に照

ビジネス

テスラ、ロボタクシー無人走行試験 株価1年ぶり高値
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 7
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 8
    「職場での閲覧には注意」一糸まとわぬ姿で鼠蹊部(…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 1
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 2
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中