<イギリス国防省高官によると、ウクライナ軍はヘルソン州のアントノフスキー橋付近に部隊を再配備している。もしドニプロ川を渡ってこられたらロシア軍は止められないのではないか、という不安がロシアに広がっている>

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ロシアでは、自国が支配するドニプロ川東岸でのウクライナ軍の動きと、それが戦況に与える影響について、不安が広がっている。

アメリカのシンクタンク戦争研究所(ISW)は、ウクライナ軍はヘルソン州でドニプロ川を渡ることができるが、ロシア軍はそれを止められないのではないか、というロシア側の懸念に焦点を当てた分析をしている。

ロシアの前線に穴

イギリス国防省の複数高官によると、ウクライナ軍は6月23日以降、ヘルソン州にあるアントノフスキー橋付近に部隊を再配備しているという。対してロシアは、ザポリージャの防衛を強化するため、南部軍管区のドニプロ軍集団から部隊を移動させたようだ、と述べている。

ロシア国内では、さらなるウクライナ軍の前進を阻むために、DGFのうち10個の連隊と旅団の兵力を増強するべきだとの声が高まっている。

「もしウクライナ軍がドニプロ川東岸に到達して拠点を築けば、ロシアにとって戦況は大きく変化する」とドイツのシンクタンク、ヨーロッパ・レジリエンス・イニシアティブ・センターの創設者セルゲイ・スムレニーはニューズウィークに指摘した。

スムレニーによれば、ウクライナ軍がドニプロ川東岸に拠点を作れたら、ヘルソン州からさらに南下してクリミア半島に進出し、半島を封鎖することも可能になる。それと同時に、より北のザポリージャ州の都市ベルジャーンシクを目指して進軍できる可能性もあるという。アゾフ海に面する港湾都市だ。

「そうなれば、クリミア半島とベルジャーンシクに挟まれた地域にいるロシア軍は弾薬などの補給を受けられず、負傷兵を避難させる手だてもないまま孤立させられることになる」と、スムレニーは語る。「ゆえにロシア側にとって、ウクライナ軍によるこれらの方向への攻勢は悪夢だ。ウクライナ軍が両方向で作戦を成功させれば、ロシアにとっては最悪のシナリオとなる」

「どちらか片方でも、ロシアにとっては非常に悪い兆候になるだろう」とスムレニーは付け加えた。

親ロシア派の複数のテレグラム・チャンネルは6月の時点で、ウクライナ軍の部隊が、アントノフスキー橋近くの、ヘルソン市とドニプロ川を挟んで対岸にあるダチという村を奪還したと伝えた。一方でロシア国防省は、自国軍がウクライナ軍を押し返しているという主張を続けている。

スムレニーによれば、ウクライナ軍は現時点ではまだ、ドニプロ川の渡河に関してさほど大規模な作戦を展開してはいないという。これは、橋頭堡を築くために大きな戦力を失うリスクを負うだけの価値はないと今のところ判断しているからだとみられる。

(翻訳:ガリレオ)

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