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イタリア

エロくて下品で豪快な「政界のドン」ベルルスコーニが逝く

Death of the “Teflon Don”

2023年6月20日(火)13時10分
バービー・ラッツァ・ナドー(ジャーナリスト、ローマ在住)

近年のベルルスコーニは、心疾患で入退院を繰り返し、新型コロナウイルス感染症にも早い時期に感染して、一時は重症に陥った。

09年には、選挙集会で支持者にサインしているとき、ミラノ大聖堂のレプリカを顔に投げ付けられ、鼻の骨を折る大ケガをした。

白血病と診断されたのは今年4月のこと。それでも晩年まで精力的に政治活動を続け、昨年の選挙では、上院議員に当選している。

だが、ドイツのアンゲラ・メルケル首相(当時)を「色気ゼロ」と揶揄したり、黒人のオバマを「よく日焼けしている」と評するなど(本人は褒め言葉だと言い張ったが)、後世には、失言やスキャンダルにまみれた政治家として記憶される可能性が高い。

6月14日、北部ミラノの大聖堂でベルルスコーニの国葬が執り行われたが、現在のイタリアの破滅的な経済状態や、法令遵守精神の欠如は、ベルルスコーニ時代に起因すると批判する声も少なくない。

ベルルスコーニを、政治家として記憶するに値しない人物と言いたくなるのは分かる。だが、記憶から簡単に抹消するには、あまりにも金持ちで豪快な人物だった。

From Foreign Policy Magazine

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