最新記事
日韓関係

海上自衛隊の護衛艦はまぎり、旭日旗掲げて釜山に入港 市民団体が反発するなか、一部隊員は観光楽しむ

2023年5月29日(月)20時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
旭日旗を掲げる海上自衛隊の護衛艦はまぎり

旭日旗を掲げて韓国・釜山の韓国海軍作戦基地に入港した海上自衛隊の護衛艦はまぎり KBS News / YouTube

<韓国ユン大統領の対日政策の転換がここにも>

29日午前、海上自衛隊の護衛艦はまぎりが自衛艦旗の「旭日旗」を掲揚して、釜山の韓国海軍基地に入港した。韓国政府が31日に済州東南の公海上で開催する多国籍海上封鎖訓練「イースタン・エンデバー23」に参加するためで、同演習には韓国、米国、オーストラリア、そして日本が参加する。京郷新聞など韓国メディアが報じた。

護衛艦はまぎりは29日午前9時20分、釜山海軍基地に入港した。全長137m、排水量3,550トンで220人が乗船することができ、ヘリ1機、速射砲1門、機関砲2基、魚雷発射管2基、対空・水上・航海用レーダーなどを装備した艦艇だ。

海上自衛隊の艦船は自衛隊法によって日章旗と自衛艦旗を一緒に掲揚するように規定されている。ただ、自衛艦旗は帝国海軍と同じ旭日旗のため、韓国では「日本による植民地支配の象徴」であるとして掲揚に反発する声も多く、文在寅前大統領時代の2018年11月には済州で開かれた国際観艦式に海上自衛隊を招待したが、旭日旗掲揚の自粛を求めて、日本側は参加を見送っていた。

ただ、必ずしも旭日旗掲揚が両国間で問題となっていたわけでもなく、金大中大統領時代の1998年と李明博大統領時代の2008年には、韓国海軍が主催した国際観艦式に海上自衛隊の艦艇が旭日旗を形容して参加していた。今回も韓国国防部は旭日旗をめぐる議論について「旭日旗ではなく自衛艦旗であり(模様が少し異なり、異なる旗という意味)、日本の艦艇が旗を掲揚したまま訪韓することが国際慣例で、これを問題視はしない」という方針を明らかにしている。

【動画】旭日旗たなびかせて釜山に入港するはまぎり

反対派はデモを予定、はまぎり乗員は釜山観光

ユン大統領と岸田首相による日韓シャトル外交が始まるなか、十数年ぶりに旭日旗を掲揚して韓国を訪れたはまぎりの乗員だが、思いのほかリラックスしているようで、釜山に到着後、個別に釜山観光を楽しんでいたことが分かった。韓国軍のある関係者は「休息の意味で、希望者に限って営外活動(=休暇)をしたと聞いている」と話した。だた、海軍作戦司令部は「今日入港した外国の軍艦は訓練の事前点検活動を行った」と公式見解を述べるにとどめた。

一方、地元の市民団体に所属する男性一人が29日、釜山海軍基地前で「自衛隊の入港反対、自衛隊は釜山からとっとと失せろ」と書いた立て看板を持ってデモを行った。また、31日には86団体が同じ釜山海軍基地で大規模な入港反対デモを行うと発表している。彼らは「旭日旗を掲げて、日本の自衛隊艦が釜山港を蹂躙した」「終始一貫して親日派、屈辱外交で一貫したユン・ソクヨル政権はとうとうこの地に植民地支配を象徴する旭日旗まで潜り込むようにした」と政府を糾弾した。さらに「侵略戦争と軍国主義復活の象徴が旭日旗であり、旭日旗の下で、日本のすべての戦争犯罪が行われた。戦犯旗の使用を絶対容認できない」と明らかにした。


ビジネス
「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野紗季子が明かす「愛されるブランド」の作り方
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシアがウクライナを大規模攻撃、3人死亡 各地で停

ワールド

中国、米国に核軍縮の責任果たすよう要求 米国防総省

ビジネス

三井住友トラスト、次期社長に大山氏 海外での資産運

ビジネス

台湾の11月輸出受注、39.5%増 21年4月以来
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 4
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 5
    【外国人材戦略】入国者の3分の2に帰国してもらい、…
  • 6
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 7
    「信じられない...」何年間もネグレクトされ、「異様…
  • 8
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 9
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 10
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中