最新記事
日本社会

ジャニーズ性加害問題とメディアの責任...テレビ界からはどう見える?デーブ・スペクターに聞く

The Exploded Open Secret

2023年5月20日(土)20時00分
小暮聡子(本誌記者)

JULIEFUJISHIMA.jpg

ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子社長が5月14日、動画と文書で謝罪

――今回ここまで社会問題化したのはBBCの報道がきっかけだ。日本メディアも、この問題についてもっと向き合うべきだった。

芸能ニュースが今回、「報道しない」と批判されてきたけど、(テレビが報じるのは)やっぱり、逮捕、起訴されてからですよ。噂のレベルでは報道できない。ジャニーズタレントでも、逮捕されたら報じてきた。さすがにジャニー自身が逮捕されればテレビでやりました。でも今回は、物的証拠がない。

――東京高裁の判決があるわけだし、「噂」が本当かどうか、もっと追及すべきだったのでは?

被害の噂も、公然の秘密ではなく公然の事実になったんですよ。途中で。でも、(テレビ局は)ジャニーズにはなんだかんだ言ってお世話になっている。多くの番組に出しているわけですから。視聴率も取れて、同じ時間帯では1位だったりして、テレビにとって欠かせない存在だった。

今はEXILEもいるし、他のグループもあるしKポップもあるけど、当時はほんとに、ジャニーズはもっともっと欠かせない存在だった。「スマスマ」なんかすごかったですよ。とにかく特別な存在だったので、船を揺るがしたくないっていう気持ちは分からなくはない。

ジャニー喜多川という人物とは別に、ジャニーズ事務所が生み出したシステムがある。システムとしては悪くはないんですよ。うまい子がだんだん上がってきて、ユニットを結成して、ダンスがうまい人がいればそういうユニットを結成して、途中で組み直したりして。最初からユニットがあるわけじゃなくて、入ってから作るので。

12~13歳でバックダンサーをやって、うまいかどうか、学習能力があるかどうかを見て、俳優業、司会業、どんどんやりながら分業して......システムとしてはうまくできている。それはどの国もまねしていない。Kポップだって、スケールで言うと全然、近づいてもいない。

ジャニーズはそういう意味では、ファンクラブのやり方を含めて、システムとしての完成度は高い。

なんで今回はテレビも報じたかというと、ジュリーが出たからですよ、動画で。受理せざるを得ないっていう。またダジャレになるんですけど。

――先日、ジュリー社長は自分は「知りませんでした」と発表していたが、これについてはどう思うか。

アマゾンで文明とつながっていない人たちだって知ってる。みんな知っているのに、それはおかしな話で(笑)。ジュリー社長が一番言うべきだったのは、「私も皆さまと同じように、たくさんの不愉快な噂を聞きました。何度も気になりましたが、恥ずかしながら確認まではできなかった」と。そのほうがまだよかったと思う。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

英中銀が金利据え置き、量的引き締めペース縮小 長期

ワールド

台湾中銀、政策金利据え置き 成長予想引き上げも関税

ワールド

UAE、イスラエルがヨルダン川西岸併合なら外交関係

ワールド

シリア担当の米外交官が突然解任、クルド系武装組織巡
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 5
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中