最新記事

日本社会

ジャニーズ性加害問題とメディアの責任...テレビ界からはどう見える?デーブ・スペクターに聞く

The Exploded Open Secret

2023年5月20日(土)20時00分
小暮聡子(本誌記者)

――報道されてこなかったことに関連して、ジャニーズ事務所のテレビへの「過剰な」影響力も指摘されているが。

日本の芸能界は全てそれ。だって、お笑い事務所だって、ピカイチの芸人がいるのに面白くない人を押し付ける。みんなそう。みんなが中川家レベルじゃないんですよ。

日本の芸能界の在り方というのは、とにかく大量生産で、事務所に人を入れるだけ入れて、その中に本当に才能がある人が一部でもいればいいんですよ。その一部がいれば、その人に便乗して他の人を使わせるというシステムなんです。

事務所にいっぱい人がいて、彼らに仕事を与えないといけないから、Aレベルの人たちに便乗して使わせるというバーター関係が生まれる。

――ジャニーズ事務所は他の事務所もやっているようなことをやってきただけで、ただし規模が非常に大きく、しかもそれが成功してきた、ということか。

ものすごく成功してると思うんです。アメリカにだって同じシステムはない。アメリカやイギリスにもボーイズバンドの成功例は少しはあるんですけど、ジャニーズみたいにずーっと、しかも数え切れないほど、というのはない。

アイドル文化というのは、女の子も含めてだが、日本が作った産業なんですよ。BTSは見事に成功しているが、Kポップそのものの歴史が浅い。それに、日本を見て作っている。日本のテレビを見て韓国の芸能界はできた。

ジャニーズも、その数だけあって個性のある人も多い。それなのに残念なのは、今の状況だとこの問題は、わだかまりを残したままになる。

――同じことがアメリカで起きていたらどういう展開になっていたと思うか。

アメリカならずっと昔に問題が浮上して、表面化して、たぶん警察の出番が何回もあったと思う。だって厳しい、やっぱり未成年だと。大人同士はいろんな言い逃れとかできますけど、子供は子供で、何をされようと、その時点でアウトです。証拠さえあれば。

この騒動は複雑なんですよ。テレビ局のだらしない面があれば、文化の違い、恥の文化、すぐに訴えない文化、忖度の文化もある。アメリカの芸能界は忖度ゼロですから。「忖度」という言葉がないから、英語に訳すことすらできない。

ジャニーズに限らず、番組としては伝えたくても、局の上のほうから扱うか扱わないかの指令が出ると結局従わざるを得ない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

北朝鮮の金与正氏、ロシアとの武器交換を否定=KCN

ワールド

米大統領、トランプ氏の予測違いを揶揄 ダウ4万ドル

ビジネス

アングル:米株が最高値更新、市場の恐怖薄れリスク資

ビジネス

米国株式市場=ダウ一時初の4万ドル台、利下げ観測が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇跡とは程遠い偉業

  • 4

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、…

  • 5

    老化した脳、わずか半年の有酸素運動で若返る=「脳…

  • 6

    アメリカはどうでもよい...弾薬の供与停止も「進撃の…

  • 7

    共同親権法制を実施するうえでの2つの留意点

  • 8

    半分しか当たらない北朝鮮ミサイル、ロシアに供与と…

  • 9

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 10

    総額100万円ほどの負担増...国民年金の納付「5年延長…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中