最新記事
防災

もしもの時に......赤ちゃん連れの避難生活に必要なものとは?

2023年5月19日(金)11時30分
※TOKYO UPDATESより転載
ピジョン株式会社が開発した使い捨て授乳カップ

ベビー用品メーカーのピジョン株式会社が開発した使い捨て授乳カップ。災害時でも衛生的にミルクを飲ませることができる

<2011年3月11日に発生した東日本大震災から10年以上が経つ今、家庭での防災への備えは十分だろうか。首都直下型地震がいつ起きてもおかしくないとも言われるなか、赤ちゃんの被災生活を支える取組みが進んでいる>

地震が起きたら......を具体的にシミュレーション

首都直下型地震がもしも発生したら、どのようなことが起こりうるのか、どう行動すればよいのか。誰もが想定しておくべきだが、特に赤ちゃんがいる家庭にとっては切実だ。

東日本大震災で赤ちゃんと一緒に被災した家庭へのアンケートをまとめた育児グッズブランドChibitoとNPO法人ベビースマイル石巻によると、不安なのは「子連れでの避難・移動・避難所での生活」「水・食糧(ミルク・離乳食含む)の確保」。特にまだミルクしか飲まない乳児の被災は深刻だ。水が逼迫する避難生活の中では、消毒が必要な哺乳瓶は使えない。平常時には母乳でも避難生活のストレスでミルクに頼る状況もありうる。親とはぐれてしまう子もいるかもしれない。

ベビー用品メーカーが作る、災害用の授乳カップ

そんな赤ちゃんのために、ベビー用品メーカーのピジョン株式会社(東京都)が開発したのが、使い捨ての授乳カップだ。避難生活でも衛生的な授乳法として一般社団法人「日本母乳の会」が推奨する紙コップ授乳をさらに進化させた。乳児期特有の飲み方に適した独自の形状を開発、フタのくぼみの内側にミルクをためて液面を確認しながら、少しずつ安全に飲ませることができる。

tokyoupdates230516_3.jpg

2022年のグッドデザイン賞も受賞した「授乳カップ」。付属の目盛りつきマドラーで、ミルクや水分量を量ることができる

ピジョンでは、より専門的な知識を得るために防災士の資格も取得したというマーケティング部の田島誠也氏を中心に「非常時でも赤ちゃんにやさしい場所を」と2021年からプロジェクトを立ち上げ、2022年には授乳カップなどの防災グッズを開発した。

同時にオープンしたサイト「あかちゃんの防災」では、災害が起きた際に起こりうる困りごとが、東日本大震災や熊本地震、北海道胆振東部地震の体験者の声とともにわかりやすくまとめられている。赤ちゃんの月齢別の備蓄リストも掲載され、子連れ被災への漠然とした恐れが少しずつ具体的に解消できる。

自助の備蓄と情報収集も欠かせない

基本的な備蓄に関しては「東京備蓄ナビ」も有益だ。家族構成などの簡単な質問に答えるだけで、具体的な備蓄品目・数量を知ることができ、そのまま購入サイトへ進むこともできる。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米財務長官、FRB議長候補2氏を高評価 「オープン

ビジネス

FF金利先物、1月米利下げ確率31%に上昇 失業率

ビジネス

米雇用、11月予想上回る+6.4万人・失業率4.6

ビジネス

ホンダがAstemoを子会社化、1523億円で日立
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 8
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    「日本中が人手不足」のウソ...産業界が人口減少を乗…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中