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アメリカでも「嫌い」が上回ったヘンリー王子、ビザ失効の可能性も

Prince Harry Facing Rising Hostility to Living in America

2023年3月23日(木)15時45分
ジャック・ロイストン

一方、夫妻が王室の公務を離脱し、カナダに移住する計画を発表する2カ月前の2019年11月に英世論調査機関ユーガブがイギリスで行なった調査では、54%がメーガン妃を「好き」と答え、「嫌い」と答えた人は34%だった。

同じ調査でヘンリー王子が「好き」と答えたイギリス人は72%、「嫌い」は21%だったが、アメリカでの今年1月の調査では「好き」が31%、「嫌い」が38%で、メーガン妃同様、嫌いな人のほうが多かった。

おまけにアメリカでは、ヘンリーの「赤裸々な告白」は人気コメディアンたちにテレビでさんざんいじられている。『スペア』の内容をおちょくったパロディー本まで出版され、グラミー賞の授賞式でもペニス凍傷のエピソードがジョークのネタにされる始末だ。

ヘリテージ財団のキャンペーンが奏功し、ヘンリーのビザが「失効する可能性」が現実味を帯びれば、イギリスとアメリカの「アンチ・ヘンリー王子夫妻」派は大喜びするだろう。

夫妻はこれまでも過激なアンチの脅迫にさらされてきた。2018年にはセント・ジェームズ宮殿に送られた夫妻宛の小包に白い粉と人種差別的な手紙が入っていることに警備員が気づき、あわや炭疽菌テロかと大騒ぎになった(警察の調べで粉は無害なものと分かった)。

ドラッグで怒りを鎮めた

とはいえ、バッシングには慣れっこのヘンリーも、薬物使用がアダとなり、アメリカから追い出されかねない事態は想定していなかったはずだ。

『スペア』で、彼はこう書いている。

「幻覚剤は良い効果ももたらした。長年、面白半分に手を出していたが、その後は(心の傷を)癒すために、薬として使いだした。ドラックを使えば、つかの間現実から逃避できるだけではない。現実認識が変わるのだ......麻薬が効いている間は、思い込みから解放され、分厚いフィルターを通して見ていた世界が、違ったものに見えてくる。それもリアルな世界だが、普段見ている世界より2倍も美しい。激しい怒りのフィルターを外したときに見えてくる世界。激しく怒る必要のない世界。そこに真実があった」

さらにヘンリーはこうつづっている。

「幻覚剤の効果が消えても、その世界の記憶は残った。いま自分が見ている世界だけが、ただ1つの世界ではない。偉大な予言者や哲学者はこぞって述べている。私たちが見ている世界は幻想にすぎない、と。それは本当だと前々から思っていたが、マジックマシュルームをかじったり、(幻覚作用のある植物)アヤワスカを摂取すれば、まさにそれを体感できるのだ。それはとても心が休まる体験だった」

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