最新記事

東南アジア

東ティモールがASEANデビュー 域内すべての国が加盟でEUしのぐ地域連合に

2023年2月6日(月)11時57分
大塚智彦
東ティモールのアダルジザ・マグノ外相(左)とインドネシアのルトノ・マルスディ外相(右)

東ティモールのアダルジザ・マグノ外相(左)とインドネシアのルトノ・マルスディ外相(右) Willy Kurniawan - REUTERS

<アジアの地域連合としての地位を固めるASEAN>

インドネシアの南東部、ティモール島の東半分を占める独立国東ティモールが2月3日にインドネシアの首都ジャカルタで開催された「東南アジア諸国連合(ASEAN)」の会議にオブザーバーとして初めて参加した。

東ティモールは2002年5月に国連暫定統治を経てインドネシアから念願の独立を果たし、2011年からASEAN加盟を目指して本格的な活動を展開してきた。

そして2022年のASEAN首脳会議で正式加盟への道筋が示された。それはまずオブザーバーとして各種のASEAN会議に参加し、2024年までに正式加盟するというもので、今後ASEANは現在の10カ国体制から11カ国体制となる。

ミャンマー招待せず

2月3日にジャカルタで開催されたASEANの「調整理事会(ACC)」に東ティモールのアダルジザ・マグノ外相が初めて参加し、東ティモールのASEAN会議デビューとなった。

しかし一方でミャンマーの軍事政権が任命した「外相格」は招待されず、ASEANは「非政治的人物」の派遣を打診したが軍政はそれを拒否、結局ACCにミャンマーからの参加はなかった。

ASEANはミャンマー問題の平和的解決に向けた道筋を模索しているが、ミャンマーへの融和派と強硬派による分断の危機が表面化している。そんなASEANにとって東ティモールの「新加入」は久々のいいニュースとして加盟国からは歓迎を受けている。

加盟国協力に東ティモールが感謝

2023年のASEAN議長国を務めるインドネシアのルトノ・マルスディ外相は、ACC会議の開会式で「東ティモールが参加する今回のACCは特別であり、歴史的でもある。今日ここに東ティモール外相の初参加を歓迎する」と東ティモールの参加を祝福した。

これに対し東ティモールのマグノ外相は「東ティモールのASEAN加盟への道のりは挑戦の連続だった。しかしそれは不可能な使命ではなかった。強い献身と楽観に基づいた挑戦は間違いでなかった。ASEANの全ての加盟国による協力でこのような成果にたどり着けた。東ティモール単独ではなしえなかったことである」と述べて各国の協力への感謝を改めて表明した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

為替円安、行き過ぎた動きには「ならすこと必要」=鈴

ワールド

中国、月の裏側へ無人探査機 土壌など回収へ世界初の

ビジネス

ドル152円割れ、4月の米雇用統計が市場予想下回る

ビジネス

米4月雇用17.5万人増、予想以上に鈍化 失業率3
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 6

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 10

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中